救世主は僕?
キーンコーン カーンコーン
今日も平凡に学校生活を過ごし、何事も無さすぎる1日だった。
友達は今から塾だとか遊びに行こうとか話しているが、僕は行かない。
何故なら、今日は帰って新作ゲームをすると決めていたからだ!
優「本当は昨日買って、すぐにでもプレイしたかったのに……」
昨日、大好きなシリーズの新作を手に入れたにも関わらず、母は僕を連れ回しショッピングに付き合わされ、ヘトヘトだったのだ。
優「あの後すぐに寝たのが間違いだった…。でも、今日は出来る!早く帰らなきゃ!」
僕は家へと走り出した。
この後、とんでもない事が起きるとも知らずに…。
-優気の部屋-
優「よし!早速やるぞー!」
僕は意気揚々とゲームのパッケージを開ける
優「あれ?このシリーズ、こんなデザインだったかな…?」
今回で4作目のゲームディスクのデザインが3作目までとは違うように思えた。
優「まぁ…もしかしたら、担当が変わったとか、そんな大人の事情ってやつだろう。母さんが帰って来る前にちょっとでも進めよう!」
ヴィーン……ヴィーン……
ゲーム機本体が、ディスクを読み込んでいる。
優「あぁ、今回はどんなストーリーだろう?前回はゾンビから逃げつつミッションクリアして……」
ヴィーン!ヴィーン!ヴィーン!
ゲーム機本体から、聞いたことがない音がする。
優「えっ!?ちょっ…何?!」
ピカッ!
目の前のテレビ画面が鋭い光を放ったと思った瞬間、僕は意識を失った…。
-爽やかな草原-
優「…………何……?」
目の前は緑が溢れる草原だった。
ハ〇ジでも居そうな程に爽やかな草原。
優「……え、何?……なんで……テレビが光って、頭が真っ白になって、なんで目覚めたら草原に寝てるの?」
空には太陽がサンサンと輝き、時折吹く風は優気の頬を優しく撫でる。
まるで現実のように。
優「……リアルな夢だなぁ。頭打ってタンコブ出来てないと良いけど……ん?」
ァー…アァー……
優「何この神々しい音楽。どこから……」
優気が上を向いた瞬間、空から階段が段々と作られ、やがて目の前にまるで上って来いと言わんばかりにそびえ立つ。
優「え、何?もしかして僕は死んだの?……ここ天国?!」
シーーーン
優「…とりあえず上ってみるか…」
僕は恐る恐る階段を上り始めた。
-聖なる扉の前-
優「はぁ……はぁ……階段……長すぎ……」
思っていた以上に長すぎる階段の先には神々しい扉があった。
【入ってこい】
そう言われている気がして、疲労でガクガクしてる足を引きずるように扉の中へと入る。
優「うわぁ……天国って、まるでRPGの教会みたいなんだ……」
中は豪華な造りで、窓は全てステンドグラス
上は絵画
壁は天使みたいな石像が並んでいて、床には真っ直ぐに赤い絨毯で1つの道が出来ている。
優「……台座には椅子?まさか神様とか出てこないよね…」
神「よくわかりましたね」
優「うわっ!」
いつから居たんだろう……いや、今、急に現れた気がする!
神「よくぞ、いらっしゃっいました救世主」
優「……ん?」
周りを見ても椅子の人と僕しかいない。
神「さぁ、もっと近くへ救世主」
優「…………あ、僕?!」
椅子の人はニコニコと微笑みながら手招きしている。
ってか、救世主って何?
わからないことだらけのまま、椅子の人の前まで進む。
神「救世主、お待ちしておりましたよ 」
優「あの、救世主って何ですか?ってか、そもそも、ここはどこで、あなたは誰ですか?」
椅子の人は近づいても男か女かわからない。
中性的。
その言葉がピタリと当てはまる人だ。
神「私はこの世界を統べる神ファンフィール。ここはセラスティーファ。あなたは選ばれし救世主なんですよ」
優「……いや、まったく意味がわからない」
リアルな夢すぎて、ゲーム脳と化していた僕の頭はこんな世界を作り出していたのか。
神「救世主、どうかあなたの力で勇者達を導き、悪の王アヌエールを倒し、世界を救ってください」
夢って自分の願望を反映するんだよなぁ。
……ってことは、これが僕の願望?!
うわぁ…中二病ってこのことを言うんだ……。
神「救世主、早速あなたが導く勇者一行の元へあなたを送ります。ご武運を……」
パカッ
優「え?」
僕が立っていた床がパカッと開いた。
まるでテレビ番組のドッキリのように。
あぁ、芸人さんが落とし穴に落ちる時って、こんな感覚なんだ……ちょっと待てよ?
僕はえらく長い階段を上って足に相当なダメージをくらっている。
つまり、夢とは言え痛みは感じる。
……と言うことは、こんな高い所から落ちたら、かなりの痛みがあるんじゃないか!!
優「ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!!!!!!」
落下しながら見上げた先には、ニコニコと手を振る自称神様がいた。
優「あ、これ……僕の人生終わったな」
地面に叩きつけられる自分の体を考えたら、また意識がプツリと途絶えた…。
初投稿させていただきました。
初心者で本当に申し訳ございません!
少しでもクスりと笑っていただければ幸いです。
お目汚し失礼いたしました。