緋色の右目と光る石
始めます!よろしくお願いいたします!
眩しい・・・。カーテン開けたの、お母さんかな?
日が昇る様が部屋中にさし込み一日の始まりを告げる。
そんな様を見つめながら彼女は辺りを見回して状況を理解する。
あ、ここ異世界だった。
***
この島は一応四季があるらしいが、何せ惑星の北側に位置する為か夏でも二十度から二十五度くらいまでしか気温が上がらないと言う。
勿論、朝夕は異常に寒い。
ただ、冬はそこまでではないらしいから助かるけど。
まあ、一年を通して寒めなままで温度差はあまり無いらしい。
だから、今春で朝だし、寒いしもー嫌だ!昨日も思ったけど!
昨日釣った魚のスープの残りと炊いたご飯に、炒めた山菜や果物を朝食に考える。
今日は何処まで出来るだろうか?と。
物置に枠の付いた目の細かい網があったからベリー類は天日干しにして、帰りの道すがら見つけた芋も同様にしておこう。
芋の蔓は煮込んで甘味料にして、味によってはベリーの一部か、新たに摘んだ物を漬け込んでみても良いかも知れない。
魚は追々釣って干物にしておこうか?
でも、動力の復旧したら大型保存庫の『アーティファクト』が使えそうなのよ。
資料には「入れた物を半永久的にそのままの状態に保つ」らしい。
まあ今作っている保存食は、保険という意味と遠出の時の食糧と考えてもいいんだけどさ。
昨日手に入れた食糧はそんなに多くなかったので加工作業は昼前には終わってしまった。
だから、都市機能の復旧を始める事にしたんだけど・・・。
「広すぎでしょ⁉」
神々の下で術式や錬成術、一般的に魔術と呼ばれるものに巫女特有の能力である、『具現化』『癒しと導き』『育成・干渉』の力をフルで行使しても、多分色々キツい。
何年かかるか全く分からない。
島の地図は昨晩物置から見つかったけど、広いのなんの!
あちこちに街や村、施設がある。
この城壁都市内でも何万人収容出来ると思っているのやら?
この島、ホントに昔は何だったのだろうか?
午後一で主要動力源の復旧に取り掛かった訳だが、術式がやたらとややこしい事。
しかし、これが復旧すれば都市内のあらゆる施設が使用可能になるのだ。
俄然ヤル気にもなるってもんよ!
ただ、この惑星っていうか世界っていうかは照明器具の類いが何故か未発達で主要動力を復旧してもこれだけはどうにもならない。
このシステムが扱っているのは目に見えない魔力らしいからねぇ。
光源と呼ばれる″目に見える″魔力の使用は難しい。
便利だけど制約もホントに多い力なのである。
ひとつ、気になっている事がある。
私が居住区として使っている場所からは見晴らしが良いためかなり遠くまで見えるのだ。
その中で昨夜、くらい場所に何かが光って見えた気がしたのだ。
いや、お化けとかじゃないよ!
だって、あそこさ、鉱山らしいんだもの。
***
入り口、結構広いですな!
いや、この口調に意味はないけど。
昨日の真相探して来てみたよ!だって先は長いんだもの。寄り道したって良いじゃない、ねぇ女神様?
・・・返事はないよ?あっても怖いけど。
それにしても何?金銀財宝?鉱山ってこんな至るところに色々な金属やら宝石が埋まっているものなの?いや、空気中に魔力が濃く満ちてるからその影響かな?
それでも凄いわぁ。あ、正面の壁、鏡みたい。
少しはしゃいで足下の水を蹴りあげるのであった。
まだ入口付近で空も明るいの為、光源がなくても中を見渡す事が出来る。
あくまで入口付近の広いホールを連想させるこの場合だけだが。
「あー、やっぱり異様だわぁ。」
鏡の様な岩は本当に姿見鏡の様に私の姿を写し出している。
真っ直ぐな腰まである黒髪に鳶色の左目。
これは、今までの人生において変わりない。
たた、右目をあらためると異様なその様に眉をひそめる。
「刻印・・・。」
緋色に変わってしまった右目。
そこに銀色の線で描き出された竜を象った紋様。
『竜刻印』。
巫女の証。
あの雨が降り注ぐ噴水の前に辿り着いた時には既に変わっていたとう右目だ。
何となく指でまぶたをなぞる。
「これは・・・。」
何か言葉を紡ごうとした、その時。
「あれ?」
視界の端に何かの光が映り込んだ。
慌てて視線を巡らせたその先には淡いがしっかりとした光があった。
***
鉱山にあったのは、光る石であった。
見た目は透明だか僅かに紫がかっている石。
何故光るかは良く分からないが、『水』を近付けると光るらしい。
「鉱山の床、浅く水が流れてたから床に近い石が光ったのか。距離があったからあんまり強い光じゃなかったけど。」
手の平で転がる石を握り、考える。
これ、使えないかな?
知識はあるし、最低限の技能も修得している。
医療に関しては生存率に関わるから手術も出来る。
神々からプロレベルまで鍛えられた。
おかげでかなり時間もなにもかも、やく半分以上を殆どそちらに集中したのだ。
時間は取れなかったものの、歴史への興味からか、何故か染め物や機織りなどもあっさり修得出来たのは例外で余程、肌にあったのだろう。
しかし、それ以外の職人のそれは別物でからっきしダメなのだ。
本当に素人に毛が生えたくらいだろう。
最高級の素材はあるのに、使えない。
どうしたものか?
とりあえずは保留にするしかない、と帰路についた。
不思議な石が出てきましたが、彼女がいくらチートで天才的で神様も行天でも出来ない事は出来ないです。
さて次回、女神様の助け舟(?)と言う名の試練が?
次回 もよろしくお願いいたします!