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「神の国の軌跡1ーーー近衛騎士視点・過大評価」

近衛騎士団長が引き継いでます。

私は騎士として、栄えあるガーラオン王国に仕えてきた。

それは今からも変わる事はないだろうと思っている。

同時にそれはこの王の悪政の時代においてもその後の時代においても波乱と苦悩に満ちていると思っていた。

それでも、わが騎士の家に生を受けたのだからと・・・。



私は罪深い。

王と王国を守る騎士でありながら、民を苦しめてきた。

その罪と共に生き、そして死ぬのだと思っていた。

そして、この時その思いをいっそ深く胸に刻んだ気がした。



国王は王子と王女の病を女神に直してもらう為に神の国に、それこそ命を捨てに来たのだ。

だが、女神の慈悲により契約を立てることで許され入国を許された。

そこからは信じられない光景しかなかった。

とにかく見るものすべて、もしかしたら吸っている空気すら違うかのような世界が視界を埋め尽くしていたのだ。

まあ、ただの人間の国と神々の国を比べることの方がおかしい訳だが・・・。



光の洪水の広間で私は今までの罪をさらに噛みしめた。

輝かしい、立派な服を着た屈強な男女。

この国の近衛か何か。

とにかく国の兵士達から知らされたのは衝撃の事実であった。

この国の民は、元はといえば私たちの虐げてきた民であり、女神様の導きと加護でこの国の民になった者達だったのだ。

勿論、迫害された民の中でも彼らは選ばれし者であったのだというし、それでも『アーレスト』の村の民の様な加護の受け方をする者もいる。

違いを考えれば、この国の者は天上人であり、『アーレスト』は現の信仰者といった感じなのだろうか?

どちらにせよ、神の慈悲は我らに虐げられてきた哀れな民に向けられたのだ。

当然ながら・・・。



その後、医者の下に王子と王女を連れて行き、治療に入るという事で我々は広間の一角に用意された宿泊所へ移動する事になった。

「何か聞きたいことがあるようですね?」

私の視線に気づいた警備部隊長・・・名前は。

「バーキッシュです。」

「・・・。」

何故分かったのだろうか?

やや、薄ら寒いものを感じながらも彼らの腰の剣に視線を向けるバーキッシュ殿は口を開いた。

「この、『守り刃』が気になるのですか?」

法班の者に説明を受けていた国王や他の者もこちらに視線をやるが、竜族の青年の「ここは神の収める国です。人の国の法の様な王と臣下の関係はありませんのでお気になさらずに。」というので王も会話を続けるようにうなずく。

「これは警備部の者の基準装備であり最大の武器です。」

剣を鞘ごと目の前に掲げさやから刃を抜くと逆さに刃のついた片刃の刀身がさらされる。

恐ろしく美しい武器だ。

何でも特別な惑う鉱石を使い、この国位置の刀工が鍛えた物らしい。

しかも、刃は警備部の者なら全員の仕える能力であるとされる術式により出現し、何でも切れるという。

何よりその刃の意味などにも感銘を受けた。

護る刃だが、この国では兵士1人1人にも”自衛”の義務があるらしい。

今まで兵士は国のために死ぬものだと思っていたが、こんな考え方があるのかとも思ったが、確かに兵士の家族にしてみれば国の為の死は誉だと言われても悲しみの方が多いのだ。

当然の権利だろう。

命を貴ぶ神々の国の方だからなのだろうと思ったが、実はあの女神は戦女神で、故に戦場の死者を嫌がった事もこの権利が存在する理由なのだという。

どれも人間の感覚とは違う様だ。

しかし、神の国の戦士とはどんなものなのだろうか?

先程船上でも話していたが・・・。

「手合わせをご所望ですか?」

バーキッシュ殿がまたも私の考えを呼んだように言う。

正直、気にはなる。

国王の方を向くと「許可が出るなら頼むがよい」というので後日、簡単な試合を申し込むことにした。

ただし、結果は惨敗。

かすり傷1つ付けられないままひっくり返された。

恐らく、力など全く出していないだろう。

人数は定かではないが、この国の兵士が本気で我が国を攻撃する事でもあれば、1日ともたず制圧されてしまうだろう。

本当に数年前に我が国は何とバカな事をしたのかと思ったのであった。



目の前の王は涙を流している。

悲しみの涙などではない。

喜びの涙だ。

一晩経ち、翌日の昼過ぎだ。

医者に呼ばれてきてみれば、何とあの死にそうだった王子と王女が元気だったころの顔色で寝台に座っていたのだ。

お2人を死に引きずり込んでいた病気は?

継続的な治療がいるが、あと1週間ほどで回復するという。

信じられないような思いだった。

鬼畜としか思えなかった当時の王に比べ、隔離されていて世を知らないとはいえ優しいお2人が助かった事と女神の慈悲に感謝をした。



まだ治療があるという事で一旦病室を後にあとに国王陛下と我々は、この国の視察をすることになった。

何でも女神様が多くを学ぶようにという話だ。

救いの手を差し伸べてくださった上に学ぶ機会までと・・・。

本当に神々とは慈悲深いのだと思いながらも外へ出るとあの広間の大きな螺旋階段に目をやった。

何でも女神のおわす聖域の入り口がこの国のまつりごとを行う協議場の上座にあるらしく、そこへ向かう階段らしい。

女神のひざ元で国の行く末を審議するとは、嘘偽りはないと示す為だろうか?

そんな事を考えてもいたがちらほらと商店がこの広い広間にはある。

今の時間は子供も大人も忙しく人もあまりいないのと仕込みの時間らしいが、昼を過ぎると住民が集まるという。

やはり神の国でも住民は人間なのだからそういった営みはあるのだろう。

そのまま昨晩入って来たのとは別の扉から出る。

「・・・何なんだ・・・?」

思わず情けない声が出てしまった。

大きな?

いや、巨大な堀の様な者が円形の広間を囲う様にあり向こう側に大きな橋が渡されさらに建物がありようやく都市を覆う城壁が見えている。

その様はまさに圧巻だが、なんと堀の内側にも町があるのだ。

一体どうなっているのか?

「まずは今の時間なら学校を見に行ってみましょう。」

バーキッシュ殿の声がした。

今日、我々と同行しているのはバーキッシュ殿と法班の副将であるロンバルト殿だ。

人数的にはこちらに理がありそうなものだが・・・おそらく彼ら2人だけでも瞬殺できるのだろう思われる。

「ガッコウ、とは?」

陛下が不思議そうにしている。

「この国には義務教育というものがあるのですよ。」

ロンバルトどの曰く、一定年齢以上の子供が絶対に受けなければいけないという、教育の義務らしい。

そこでは一般的な読み書き算術に加え、将来に向けて様々な技能を少しずつ学びどんな仕事をするかを選択。

その後、専門の部門に手伝いとして入り座学と実習を経て一人前になっていくのだという。

「・・・何と高度な。誰でも受ける事が?」

陛下は目が落ちるのではないかというほど見開き質問している。

誰でもという問いには勿論農民も含まれているそうだ。

そもそもこの国には、役職の長はいるがそれは実力で決まる上、貴族のような身分制度は存在しない。

女神が最大の国家元首であり、他は等しく民なのだという。

実際この義務教育を行う学校という上等な建物へ行くとさらに驚くこととなる。


教鞭をとっているのは美しい男。

そう、エルフだ。

更に子供達は人間の子供だけではなく獣人の特徴を持つ子供などもいる。

「女神の前では我らは等しく命。種族の違いは無意味なのです。」

ロンバルト殿が言うと、教師の横で鉱石と何かの器具の説明を行っている青年に視線をやる。

「彼は、エテッセリアです。」

その場の者の表情が凍り付く。

あの穏やかな青年が吸血鬼の一族であるというのだ。

「本来エテッセリアは穏やかな種族であり、優れた能力を多く持っています。現に彼はこの国の調達部門の長も務めています。」

迫害され危険とされた種族、エテッセリアがこの国の重鎮と聞き驚いたが、さらに驚くのはあの吸血衝動は起きていないというのだ。

「神々の英知に彼らの衝動の原因と抑え方についてあったのです。その為の薬もあり、この国位置の薬師の手によりもたらされています。」

バーキッシュ殿は何でもないふうに言うが、そんな事が?

陛下と驚愕の表情で顔を見合わせた。



結果を言おう。

まず私は。

いや、私達は愚かだった。

神々の国で受けたのは、まるで親が子に示すような諭される日々と学びの日々だった。

あれだけの事をした我らに母なる女神はそれを与えた。

しかも、旅立ちの間際に現れた女神は誓いのあかしとして不思議な白い石を国王陛下と王子、王女に授けて言い放った。

「救いを求むる者が助力を願う時、その手を差し伸べなさい。」

同時に1つの白い抱えるくらいの大きさの像を賜ることになる。

どういうものかは隠れ里の民に効くように、と。

そして、『アーレスト』の男は元『アーレスト領主』より「時が来た。」といわれて国王陛下に向き直る。

何事かと船内は注目する。

「かつて女神様に救われて以来、私達の里はこの神の国の作物の苗木を育て増やしてきました。その期からの収穫は非常に豊富で病気や環境の変化にも強いのです。それを、王様の元へもっていきますから、国内に普及してください。これで食糧難もよくなると思います。」

女神からの贈り物だと言ってそちらを向くと、女神も頷く。

説明は旅立ってからという事で一行は再び大海原へ旅立つが、今度は嵐も何も起きない穏やかな船旅となった。



本国へ戻った我々は、女神様からの贈り物を全土へ普及させ、飢えなどの問題が解決した。

その後数年で悪政を強いていた国王陛下は、すべての民の親となり導き働き『賢王』と呼ばれるようになった。


だが我が国の王の役目はまだ終わらないのだ。

さらにこの後に続く世界で起きる戦の火消し役として助力していくこととなる。

女神に関してはこの話は言い伝えられ国教となり教会などが多く建造された。

そして、次なる戦火を消す為の先ぶれが訪れるが、それはまだ先の話となる。

女神様の布教・・・。

by 精霊主神。


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