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「神の国の軌跡1ーーー国王・過大評価」

大いに讃頌し仰天する王様です。

女神と私は契約を交わした。

私は国の親となり、今までの行いの贖罪を一生背負う。

その対価で子供達が助かる。

何より、今の私なら今までの闇が晴れた世界を新たに生きることが出来る気がするのだ。

そう考えてると女神が光の城を示すように杖を振り、口を開いた。

「ようこそ、我が領域『城壁都市国家・スキエンティア』へ。我々はお前たちを歓迎しよう。ただし、本土へは多くを入れることが出来ない。食事や物資の補給は我が国の警備部隊が行うのでここでの待機となる。これよりお前達、そして病に伏せる子供達の迎が来るので指示に従う様に。」

そう言い女神は1度空高くに飛び立ち、光る城の最上部に消えて行った。

迎えとは何だろうと『アーレスト』の男と顔を見合わせ、周りの兵士達を見るが良く分からない。

だが、迎えが来るなら子供達の準備をしておくべきだと指示を出すことにした。

すぐさま子供達は甲板にふらつく足で辿り着く。

やはり顔色も悪く、この子達が助からないかもしれないという思いが胸にこみあげる。

1番信じなければいけない私が何をと思うのに・・・。

そんな事を考えていると、何か聞いたことの無い音がしていることに気付く。

私も彼も兵士も何事かと周りをうかがい、子供達も座り込んで目だけを動かしてあたりを見回す。

すると、息子がかすれた声で何かを言いながら指さそうとしているので、近くにより話を聞く。

そして、その方向に視線をやった我々は凍り付く。

何だ?あれは?

煙突のついている中型船舶が近づいてくるではないか。



マストの無い船だ。

どうやって動いているというのだ?

船はあっという間近づいてきて接岸。

数人の男女が下りてきた。

黒いそろいの服の者と白いそろいの服の者が数名だ。

随分と上等な服で、わが国の貴族でもあんな布の服は着る事は出来なさそうだ。

やはり、神の国にしかないものなのだろうか・・・?

そんな事を考えていたら近づいてきた白い法衣の面々を見て凍り付く。

「・・・。」

相手も気づいたのだろう。

じっとこちらを静かに見ている。

数年前。

私がこの国を知るきっかけになったあの愚かな行動。

彼ら竜族をこの地まで追って来た上で女神に制裁を食らったのだ。

それはここにいる者なら全員が知る事。

どうするべきかと悩み言葉を発せない私だが、代わりに近衛騎士が口を開いた。

「失礼ですが、貴方方が女神様の国の方ですか?」

この声でようやく動けるようになった私も姿勢を正して彼らの方に向き直った。

すると、1番前にいた黒い服の立派な男と、白い法衣の竜族とその副官らしき男が進み出てきた。

「我々は、女神様を国家元首として頂く『城塞都市国家・スキエンティア』、国防組織・警備部の者だ。私は『警備部・兵班』所属、『警備部隊長』のバーキッシュ・ラインハインだ。」

続けて竜族の青年が進み出て口を開く。

「同じく『警備部・法班』所属『師長』のバリシスとこちらは副長のロンバルトだ。」

その副長と紹介された男が何やら書類の様なものを見ながらしゃべり始める。

「この度は重病患者2名とその付き添いの入国申請があると聞き、搬入の為来ました。詳細をお願いします。」

はきはきとした様子で話す竜族の青年。

どうやら彼らはこの国の兵士の様なものらしいが、彼らの装いは兵士のそれにしてはあまりにも上等すぎる。

何より肩当以外の鎧もない。

武器も黒服の方が腰に差した1本の見たこともない剣のみで、白服の方は恐らく魔導士部隊なのだろうがほぼ丸腰。

これで大丈夫なのだろうか?

それとも、領地内だから軽装なのだろうか?

何はともあれ私はしなくてはいけないことがあると、竜族の前に立つ。

2人の竜族は視線を向けてきたので口を開こうとしたが、その前に師長と呼ばれた方の1人がしゃべりだす。

「謝罪なら結構。女神様との契約においては既に聞き及んでいる。その契約が謝罪とし、そちらの国内で竜族を見つけたならば、その他の民と同様に公平に扱ってやってくれ。」

そこまで言うと書類を副長とした青年から受け取り黒服の青年に渡す。

「ガーラオン王国、王子ジル様並びに王女エレナ様の治療目的滞在の申請はすでになされています。付き添いとしてどなたが入国なさいますか?」

青年は私を見つめてくる。

一泊置いた私は口を開く。

「子供達には私とこちらの彼と近衛騎士5名を同行させたいのだが、大丈夫だろうか?」

「計9名での入国。10名以内ですので促、申請は受理されます。それでは船へどうぞ。食料品等は後程ほかの警備部の隊員が搬入します。この国は特別な存在が共生する国ですので、皆様は必ずこの国で出された食物を口にしておいてください。それでは移動しましょう。ちなみに、我が警備部の隊員は男女ともに1人でこの艦隊を殲滅できるだけの戦力ですので、万が一にもおふざけにならないようお願いいたします。」

聞いたとたんに周りがざわめいた。

勿論私もだ。

この母艦にも100人近く、護衛艦も合わせれば300人前後の兵士がいるのだ。

それを1人で・・・?

ここまで考えて以前の女神様の力を思い出す。

そしてここは神の国で、彼らはその住人・・・。

超常的な領域の民が我々と同じはずはなく、その能力が異能のそれをはるかに凌駕していても可笑しなことはない。

それどころか同じはずがないのだ。

まさに生きる世界が違う住民なのだから。



船の乗り心地は非常に良かった。

ほとんど揺れもしないのだ。

こんな船があるのだろうかと思う。

そして、見たこともない複雑な構造の港に船が入ると”タンカ”というものに子供達は乗せられて上陸した。

ここに来て白い服の男が待っていた。

「お疲れ様です、警備部長。師長。ようこそ、スキエンティアへ。私はこの国の『医療部』の責任者で『医局長』を務めます、エレイズ・ファンク―ドと申します。先に問診等を済ませますので少々お待ちください。」

法班の服とは違う、やはり白い服のこの男はどうやら医者らしかった。

この国の医者のトップらしいと後で聞いたが、やはり腕がいいのだろう。

いくつかの質問と触診という方法だけで症状等をピタリッと言い当ててしまっている。



ここまで来て再び移動となった訳だが、フッと気になった物があった。

私も同行した者も思わず凝視してしまっていたのだが、警備部長殿が気づいて説明してくれた。

「これは通称グラスボールという光源です。中にはこの国特有の光を放つ鉱石をガラス石と術式を駆使して加工しています。明るい時は光らず暗くなったら光る様になっているのですよ。この国で1番腕の立つのドワーフの職人がこういったものの生産部門の長で彼の作品です。ただしこの知恵は女神様直伝であり、別名を『竜の眼』や『女神の光』と呼んでいます。触ってみると分かりますが、熱などは感じない仕組みとなっています。」

あちこちに吊るされているキラキラと輝く幻想的な光る硝子の球体。

グラスボール?

女神直伝の光源だというそれは触れてみても熱くない。

しかし、輝きは国のどの光源よりも明るい。

照明ひとつをとってもここまでの技術力の差があるというのか?

驚きに言葉を失いつつ、子供達を運ぶ警備部の隊員の後をついて上の階へ登って行った。


階段は緩やかで一団が広い。そして1番上につくと大きな扉が目の前に現れたではないか?

どれほど重いのだろうと考えていたら1人の隊員が軽く開いてしまったので慌てると、他の隊員が特別な素材でできたものだからそう思くはないと説明してくれた。

同時に視界に飛び込んできたのは、天の世界としか言いようのない光の洪水であった。

「・・・何だ?」

言葉が出ない。

何と幻想的な風景なのだろうか?

子供達も、同行した誰もが目を奪われる。

こんな贅沢な光源の使い方まで・・・。

どこまで違うのだろうこの国は?

ここでフッと気になって警備部隊長に声をかけた。

「そうだ、どうして子供たちの事が先ほど分かったのだ?」

彼らは子供達2人が病気だと最初から知っていた。

船の上にいなければ分からないはずなのだが。

私が不思議そうにしていると警備部隊長はこの円形の建物の真ん中に浮かぶ球体を指差した。

「あれに触れれば様々な場所の様子が分かります。それこそ世界中の。我々は女神様の代行として見守る際にあれを利用しているので船の上の様子やその他貴方方の本国の様子も見ることが出来ます。最も、女神の加護を受けていなければ発動しませんが。」

女神の代行として世界を?

「世界の運行を見守る為です。」

法衣の竜族も続ける。

世界の運行の為?

途方もない話で理解が追い付かない。

「そんなことが人間に出来るのか?神々の様に長きに渡り世界を見続ける事が?」

疑問を躊躇する事なく口にする私。

こんな事はいつ振りかとも思いもしたが、ここは神の国で彼らはその民。

今更嘘も隠し事も無意味に終わるだろうという思いから彼らを見つめると、法衣の副官殿が何という訳もなくしゃべり始める。

「我々は女神の加護を受けています。年もほとんどとりませんし、寿命も非常に長い。数百年経とうがこのままです。」

半永久的な不老だと告げてきた。

それは同時に今ここにいる面々は遠い未来までも私たちと女神の契約に目を光らせているという事だろう。

「一体いつから女神の国に?この国の生まれなのか?」

こんな特別な存在は相違ない。

思い立ち続けると、あまり表情を変えなかった竜種の男が眉間にしわを寄せて私を見ると口を開いた。

「知っての通り、竜族は数年前にここに移り住んだ。それは、貴方をここに導いた善良なる民、『アーレス』の隠れ里の住民にある女神の加護の力で導かれたからだ。すなわち、この国の民は元々は戦火にさらされ、迫害されて済む場を追われた難民達であり、女神様の慈悲により発動した導きの光によりこの地に移り住んだ者達なのです。」

この言葉に私は次に発する事が出来なくなってしまった。

今目の前にいる。

いや、ここで出会う民はもとは私が苦しめてきた者達なのだという事。

だが同時に私たちを助けてくれようとしてくれているという事。

この時、今までしてきた事に深く後悔し、女神との契約を後世に渡り我が王家に引き継ごうと胸に刻んだのであった。

ご都合だ・・・。

シオンに続き私も良心の呵責が映ってしまいます(笑)。

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