最高議会と次の始り
ほとんど説明になっています。
日が経つのは早い。
シオンはそんな事を考えながら『最上位正装』を着付けていた。
一番下に白のロングシャツ。
次に艶のある単色の黒いベスト。
最後に繻子のコート。
コートはローブの様で腰などは締めたりしていないが、体にフィットしたシルエットに仕上がった。
この順番で着込む。
下はストレートのベストと同じ布で、男性は長ズボンで女性は長ズボンかロングスカートとなる。
ちなみに、シオンは長ズボンである。
その細部は『和』のテイストがちりばめられており、一番上のコートの襟の合わせ目は着物を彷彿とさせ、玉の飾りで繻子の艶色の単色布の飾りで留めてある。
勿論、袖や裾やその他の部分にも。
『和』を知らない住民達は不思議がり珍し気に着心地を試していた。
さて、何故正装しているかだが今日は建国以来初の国の式典の日なのだ。
名目は『最高議会』。
正確には『最高議会役員任命式』兼『国家体勢説明会』。
だから出来たばかりの正装を着る事になった。
いや、『警備部』の部隊員は既に制服着用で勤務している訳だが。
一番上のロングコートは腰で締められたシルエットで、襟は詰襟のラインは深い紫で縁取りされ、装飾は銀製。
上は白シャツで下は黒のストレート長ズボン。
足元は膝までの黒革ブーツ。
デザインはシオンは最後まで女性部隊員のスカート案を訴えたが没になり、男女共通になり艶糸は紺色になった。
どうしてこうなった⁉いいじゃん、女子はスカートで!
内心の叫びを威厳を振り撒いて伝えたが、バーキッシュに却下された。
ちなみに布には防御術式を等を付与してあるので、プレートメイルを遥かに高い防御力を誇る『アーティファクト』になっている。
そう言えば、この世界の成人が15歳なので住民は全員が『最上位正装』を作る事になったのだ。
結果、リズ達が物凄い事になりシオンも助けに行こうとしたが、シオンはシオンでバタバタした為に助けには行けず、せめてもの労いに大量のスイーツを持って行ったら泣かれたと言う惨劇が展開してしまい戸惑いに凍り付いたり・・・。
それを見た面々が、これは伝説になるとかならないとか騒いでスイーツパーティーして終わったと言う締まりのなさ。
初めての国会みたいな乗りがいつも通りになっていたので当日は誰一人緊張もしなかったのであった。
そして『最高議会』は始まる。
だが、正直住民が少ない現在。
部署はあるが責任者も部員も空席と言う状態である。
これは後日住民が増えてからでもと言う事で落ち着き、説明になった。
『総合議会部』は責任者を『議長』として国家元首としてシオンが就任した。
主な職務内容は『方針提案・決定・工程管理』など様々な事の細部にわたる。
『警備部』は責任者を『警備部隊長』としてバーキッシュが就任した。
主な職務内容は魔物や野生動物の討伐を含む警備だが、いずれは・・・、今後に期待だ。
平常時や手が空いている場合は他部署の力仕事に従事となる。
正直、こちらの方が多い気もするが。
『医療部』は責任者を『医局長』としてエレイズが就任した。
職務内容は医療行為と研究が主だか、今回空席の『教育部』と連携してもらう事になる。
これは医者は教養が十分である事からもあり、『教育部』の責任者や部員が就任した際はその様にと言う話になっている。
『教育部』は責任者は『学長』だが部員も空席の為しばらくは『総合議会部』及び『医療部』がしばらくは兼任。
職務内容は成人未満の子供達の教育。
ただし、現在は該当する年齢の子供はおらず機能していない。
『生産部』は責任者を『工場長』としてハシュドが就任した。
この部署はラインが多々あり、その専門ごとで別れている。
『重品生産部』は責任者を『頭』としてハシュドが兼任。
職務内容は鍛冶などを含む重量物などの生産。
『軽品生産部』は責任者を『チーフ』としてレーシアが就任した。
職務内容は布や手芸品関連を含む重量の軽い雑貨生産。
『食品加工部』は次に説明する『育産部』で作られた材料を加工するのだが、責任者は『加工士長』だが部員空席、でしばらくは『総合議会部』などで兼任。
『育産部』は責任者を『育産部長』としてロイが就任した。
職務内容は材料提供と調達を主とする。
『農品生産部』は責任者を『農林長』としてロイが兼任。
職務内容は農園での農業や品種改良の研究。
『海産部』兼『整備部』は責任者は『棟梁』だが部員空席の為しばらくは『総合議会部』などで兼任。
職務内容は漁業や、造船なども手掛ける予定なので大工仕事などの設備整備も兼任。
『養殖部』は責任者は『飼育長』だが部員空席の為しばらくは『総合議会部』などで兼任。
職務内容は養殖全般にわたり、養鶏・養豚から養蜂までも手広く展開予定。
『物資採集部』は責任者は『探査長』だが部員空席の為しばらくは『総合議会部』などで兼任。
職務内容は鉱夫職の者が従事となり、様々な物資採集を行う。
空席の目立つ組織図を前に各自は様々な反応を見せている。
いや、正確には最高議会の開催場所のせいかもしれないが。
だって、他にちょうどいいスペースがなかったんだよ?
胸中で呟くシオン。
ここはどこなのか?
降りしきる光。
議長席の後で光ながら回る魔方陣。
・・・そう、大聖堂である。
あの広く長い空間に沿って長い長い、ハシュドお手製のテーブルを置き椅子を並べる。
壁にはネームプレート式の組織図がかけてある。
国の最高議会の会場としてはこれ以上ない気がしたのだ。
選び、決定した時は。
ごめんなさい!
何度目かの謝罪を胸中で叫ぶ。
いや、神域に続く女神の間とも呼ばれている場所はかなり居心地が悪いだろうと座ってみてシオンも思った。
彼女の場合背後から先輩女神様が来そうで・・・。
それでもハシュド辺りが「神々の前で不正をする事なく国の運営をしていると証明していると思えばいい」と言ってくれた時は、ひざまずきそうになるくらい感動してしまったシオンであった。
***
今日は長い一日だったなぁ。
久しぶりに神域を訪れたシオンは天を仰ぐ。
これでようやく″国″としてのスタートだ。
中々に長かったと眉を寄せながらも口もとが緩む。
だが次の瞬間、何かが頭に流れ込む感じがして膝をつく。
「誰か、来た?」
感じはハシュド達が来た時に似ている。
しかし、明らかに″何かの質量″が違う気がする。
とにかく、と膝をついたままシオンは腕を振るとその手に光の杖が出現し光る。
同時に目の前の虚空に夜の海の光景が浮かぶ。
「・・・。」
何だ?微かな光が海に弱々しく揺らめいているのが見える。
船だろうか?
明らかにハシュド達の乗っていた物より小さい気がするが。
何が違うのだろうか?と目を凝らすが視覚では特に違いは確認できないと思い立ち上がる。
「乗ってるのは、人間だよね?」
何か覚えがある気がする。
以前、その時シオンは″人間″であった。
あれは囚われの王子に会った時だと瞬きをする。
ただし、あれよりは若干弱いと更に目を凝らす。
「・・・!!」
同時に浮かぶ無数のビジョンが駆け抜けて行く。
「これは・・・。」
呆然と、しかし″時が来た″と。
「徹夜か。本当に、皆ごめん!」
杖を消しながら大聖堂に向かうゲートに向けて踵を返し走り出す。
これはとある国が平和に向かう始りの時。
ここに次の運命が始まった。
何かがきます。
何でしょう?
次回もお願いいたします!




