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明るい技術と作戦

ご都合アイテムは思ったより出ませんでした。


出したらくどきなってしまいました。


それでもはっちゃけてる人は出ます。

まさか、彼は外科医だったなんて。


シオンは驚きながらも喜んだ。

同時にこの世界では″異端″らしとも知る事になったが。


まあ、いきなり治療!とか言いながら腹、かっさばきだしたら周りは引くわな!


内心、そりゃそうだとテンション最高潮に指示を飛ばす。




勿論シオンは自分の持つ技能と知識は役に立つものだと言う事は知っていたが、まさかこうも早く出番が来るとも思っていなかったのだ。


最初のうちはあからさまではないものの「こんなの本当に役に立つの?」みたいな反応ありで協力も得られないかもしれないと考えていた。

そもそも、その技術が有効と言う概念がないのだから。



だか、概念はあった。

技術は単純なものではあるが「外科医」がいたのだ。

本来、外野のシオンが言っても懐疑的な反応が帰って来るかも知れないが、この世界げんちの人間がと言うなら更に信憑性があるというもの。


有効だとしても役に立つと知ってもらうなけれはば使えない。

だが、医療技術は生命線。

早めに理解し活用出来る体制を作りたい。


今回のエレインの場合は願ってもみない事例だ。

民の為になり、理解も得られるのだ。

ただ、スキエンティアは当分大騒ぎになってしまったが。



***


異端、悪魔医師。

人々がかつて私の兄を呼んだ名前。

兄のしている事は多くを救える。

その現実を誰も分かってはくれなかった。


そして、心ない人々は患者の治療中の兄へ松明を振り上げた。


兄は背を向けていてその事に気付かない。

私は咄嗟にそんな兄と松明の間に入った。

そして、私の顔は半分を失った。


それからは更に酷い日々が続いた。

私は死ぬまでこの苦しみを背負うのだろうか?と、行く宛もない海に出たのだった。




女神様がいた。

私達と暮らすからと人みたいにしながら生きると言う女神様。

本当に変わっていると思ったけど、実はその程度ではなかったのだと言う事を知る事になる。


何と彼女は兄を認めて、私の顔を治してくれたのだ。


兄の治療方法は本来こう言った症例に使用してこそ有効なものなのだ、と女神様。

薬の内服等を内科治療と呼び、これが私達の世界の一般的な医学だ。


だから、兄は異端とされた。


しかし、兄の治療方法も異端等ではなく紛れもない医学技術のひとつ、外科的治療と呼ばれるものなのだと言う。

体の内外に特殊な刃物で傷をつけ、患部の切除や他からの移植を行う事によって治療する。


かなりの知識と技術を必要とするが、内科治療では諦めていた病気にも有効であるとされる事もあるらしい。




「当分休んでいろ。私は里長に今後の医療施設関係で話がある。何かあったらこの鈴をならしなさい。」

兄は私にそう言ってベットから離れていく。

その背中を見送ると、綺麗になった顔に触れながらサイドテーブルのベルに触れる。

特別な物で、鳴らせば特定の対象の耳に必ず音が届く。

里長は『ナースコール』と呼んでいた。

この島には様々な『魔導鉱石』が採れるのだとか。

そして、この鈴の材料もその一つを使って制作された『アーティファクト』なのだと言う。

特定の『魔導鉱石』で出来た道具に術式を組み込んで作る。

本来は神々の技術だと言うけど、この鈴に発動されている術式は一般的なものなので、永久に使える物では無いらしい。

これが里長ら神族の使用する『幻想級』の術式で作られた物なら永久に朽ちる事なく使用できるみたいだけど。

ああ、この都市の『アーティファクト』がそれに該当するわね。

ただ里長は「人として」と言っていたから、練習すれば私達も使える一般的な術式を使用した物しか作らないみたい。

本当に私達が出来る範囲でしか力も使わないみたいだわ。

勿論それでも、知識も技術も何もかもが人のそれとは逸脱いつだつしているのだけど。



また顔に触れてみる。

実際はもう痛みも、違和感もないの。

この島で見付かった薬の材料は初めて見る物は勿論、同じものでも効力に差がある。

それで精製した薬はあり得ない程の効果があった。

薬草その物に多くの魔素が含まれているせいだと里長は言っていたわ。


そのかわり扱いも難しく複雑なんだけど、里長はたいした事でもないみたいに薬を生成してしまう。

思わず見惚れてしまったわ。


***


「おーい、里長!やっぱり専属の鉱夫がいなけりゃ先には進まん方がいいぞ!」

ぐわん、ぐわん。

坑道の中にハシュドの低音が響き渡る。

その大音量に眉間に皺を寄せながらシオンは振り返ると、少し奥で手を振るハシュドと耳を押さえながらも作成予定のリストと足元の鉱石を見比べているエレイズの姿があるのが見える。

エレインの手術に使われた道具はハシュドが恐るべき速さで、尋常ではないほどの見事な物をたった一週間でこしらえてくれた。

お陰で先ほど彼女の手術は無事に終わり、今は病室で休んでいる。

まあ、使用する薬品はエレインが自ら生成したのだが。

彼女の知識も腕前もかなりのもので、正直シオンも現地こちらの方法を色々質問していて、ついうっかり遅くなってしまっていたのであった。



ただ、その後が厄介だった。

全ての医者がそうではないのだか、中には″学者気質″な者だっている。


そう、エレイズの様な。

「他にも色々な道具がいる。」

更なる医療技術の教えと医療施設の拡張をとエレイズが少々興奮気味に詰め寄って来たのに対して、シオンは冷静であり「急げ急げ」と言った彼の高いテンションをバッサリとひと言で切った。

結果、今度「はならば道具を揃えましょう!」となり、材料を採りにハシュドを引きずって坑道に来たのであった。


だが、ハシュドの話では表層に出ていない鉱脈は探れず、無理に穴を開けて採掘するのも崩落の恐れがあって出来ないのだと今しがた語る。

確かに知識はあれど採掘の経験などない我々には出来ず「専門家こうふを連れてこなければ危険だろうな」とシオンも先ほどピッケルを叩きつけて以来ガラガラと岩の欠片を転がす壁にジト目を向けながら補強用の角材で支えを設置していく。


「今あるもので何とか出来ないですか?」

エレイズは壁の様子に若干後ずさりながら失速気味に訪ねてくるが、現時点で材料を全て医療施設に注ぎ込む訳には行かないと伝え、他の都市機能の復旧にも使用する事を話す。

実際、幾つかの『アーティファクト』は部品の破損から使用不能になっており、特に屋外に設置された農作業用の『アーティファクト』は痛みが酷い。

農業はある意味、自給自足の生命線である為長々と放ってはおけない。

まあ、何もないこの『スキエンティア』においてはどれも放ってはおけないものなのが悩ましいとシオンは眉を寄せる。


本当にどうしたものか?


とりあえずこの後現状を理解したエレイズには『知識』を身につけてもらおうと、幾つかの書物を渡したのだった。

知識これがないと、いざ道具が出来ても何もならないのだから。


エレイズが学習を始めたのでシオンは再び坑道にいるハシュド達のもとへ戻る事にした。

勿論、何かいい案はないものかと考えながら。




「里長!これは何ですか⁉光る石です!」

ずいぶん元気な声がする、と薄暗い坑道に入ると赤い頭が目に入った。

確か、職人見習いの少年で『レノン』と言ったはずだと自己紹介の場面等を思い出す。

彼は『ヒューム』族で一般に言う人間だ。

しかし、非常に器用でハシュドに弟子入りしたのだと言っていた。

ハシュドもハシュドでヒュームには勿体ないと笑っていたし、素質は十分な逸材なのだろう。

本当に様々な人材や才能集まったものである。


「光る石?ああ、あれか。」

以前、クエストを受ける前に見つけた『水に近付けたら光る石』の事だろうと訪ねて歩み寄るとやはり、あの僅かに紫がかった透明な石を差し出された。

そう言えばこれを照明器具に出来ないかと色々と考えていたが、どうしようか?とハシュドに視線を向けると目があった。

同時に歩み寄って来たのでシオンは喋り始める。

「ハシュドはガラスの加工も出来るのか?」

「ああ、出来る。」

即答、である。

しかも普通に。

ガラス加工は地球でも難易度は決して低くはなかったのだが、ハシュドにはたいした事ではないらしい。


恐るべし、ドワーフの工芸手腕。


「この島は夜、人がいないからなおさらだが暗いし照明器具を作りたいんだが?いいだろうか?」

シオンはすぐそばに立ち止まったハシュドに作成依頼を伝え、次にどんな物をどういう風に設置していくかなどをかいつまんで説明していく。


話しが進むにつれ、ハシュドは面白そうに蓄えた髭を撫でる。

横で聞いていたレノンも「おおお⁉」とか言いながらはしゃぎだしている。


この照明器具に使用する材料は幸い潤沢であり、この計画を進めるにあたっては問題ないとハシュド。

「面白い事を考えるじゃないか、里長。」

ニッと笑うハシュド。

俺も手伝うぞー‼と意気込むレノン。

「夜は足元が頼りなくて危なかったからな。しかも面白い。里長、設計図は任せたぞ?」

だから、作るのは任せてくれとドワーフはニヒルな笑みを向けたのでシオンも笑い返す。

「ああ、明日には工房に届ける。」

ここに『夜を明るく過ごそう作戦』が始まったのであった。


しかし、誰だ?この作戦名付けたの。


日が沈んでいく中、首を傾げるシオンだが誰も答える者はいなかったらしい。

今後、いつまでも。


***


『光る石』の事を知っている人はいなかった。

だから、この島特有の鉱石なのだろうとハシュドも言っていた。

しかし、本当にハシュドは何でも作れるなー。



材料は名前そのまま『ガラス石』。

これを特定の木の樹液をかけて炉にくべると、お馴染みの液状のガラスの素が出来るらしい。

大陸ではこの『ガラス石』はあまり採れないとか何とか。

いや、この島、本当に何でもあるわぁ。

しかもハイスペック!

最高級のオンパレード!

こんなん、地球にあったら場所によっては大ごとになりそうだけど。

これ以上の発言は「ピーッ」入りそうだ、自重しよう。


さて、誰が言い出したか分からないけど『夜を明るく過ごそう作戦』?

何だかハシュドもレノンもテンション高かったなー?

どうした、あなた達⁉

実は、目が爛々(らんらん)と輝いていらっしゃいました!



まあ、医学以外だと私は設計図書くくらいしか出来ないんだけどね?

知識はあるからメカニズムも分かるから。

作れないけどね!

手術シーンは「エグい!」との事。

下書きを読んで、確かに。



次回、職人のオッサマと弟子と新米女神様が何かします。

よろしくお願いいたします!

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