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お別れと加護

そもそも世界とはその世界に住む存在達の意志に影響を受ける。


リソースはどちらかというと良い意志の流れとされている。

では悪い流れとは?

負の意志。

今この世界を覆う戦渦せんかに焼かれる存在達の苦痛。

これらが負の意志であり″歪み″を呼ぶ、とされている。

遥かいにしえの神話より更に前からのことわり

いつかは知らぬ″始り″から続く、流れと言われている。


***


女神から聞いた文句を感情なさげに声にする。

うん、私も出来るんだな。

″それらしい振る舞い″。

正直、故郷を一夜で失った少年にするには相応しいとは思えない態度と内容だけど、これをしないと彼の今からも意味がなくなってしまう。


彼が悪かった訳じゃない。

悪いのは悪政をとる現国主だ。

この少年、イニアはそれに対抗する事が出来る存在だと言うだけで″歪み″に巻き込まれたのだ。

いや、まだアレから色々あったけど。


あのすぐ後、何と村の跡地に国の軍隊が押し寄せて来たから、さあ大慌て!

急いでイニアを半ば引きずりながらその場を離れ、身を隠す。

一体、今度は何なの⁉救出なら遅くないか⁉

内心、若干キレながらも耳を澄ます。


「おい、村はどうなった?」

「反乱分子どももいないのか?」

村、反乱分子?アレ?

思わず、横で項垂れている少年に目をやると、どうした?キミ?

彼は泣き腫らしためで、兵士を真っ直ぐ睨み付けている。

あ、これアレか?


多分″歪み″があの村を狙ったのは、彼の事がある以外にも理由があったらしい。



「国の軍隊から逃げてきた人を村でかくまっていたのか?」

私の声に少年頷く。

いや、これは・・・女神様、知ってました?

この話の通りなら″破意″が出現しなくても、軍隊に制圧されていたかもしれないんだけど。

最悪、私、この国の軍隊相手にドンパチする事になってたかもしれないって?

嫌だなぁ、もう。



そんなこんなだが、勿論見付かったり捕まる訳にはいかないので、速やかにその場を離れたけどね。

ああ、危なかった。軍隊、大概にしろよ‼


それからはもう″イニアのせいで村が滅びた訳じゃない″事をしっかり効かせた会話をしながら、彼の身を寄せる予定の孤児院へと急いだ。

まあ、村がしていた事が原因ではあるが。

彼から聞いた話しでは匿っていたのは″亜種の元農民″らしい。

その人達は無理矢理兵士にされ逃げたした元農民で、戦場を逃げて戦犯だと言われ、行き場を無くしていたのだと言う。

悪い事してた訳じゃない。

一番の原因はこの国の国家元首のワガママだ。

戦争だって国家元首のワガママから始まったのだと言う。

最悪だな。


だもんで、実際イニアもイニアの村の人達も悪くない。

力がない状態でしたので滅ぼされたのは自業自得と、近くの別の村に立ち寄った時に誰かがほざいていたが、悪事を働いたわけでもない。

この村人の話は腹は立ったが間違えてはいないけど、とにかくイニア達は悪くなかったと伝え続けた。



旅も終盤。

あの夜から既に一週間が経っていた。

途中から魔物も増えて来る事から、イニアにも武器の扱いを教え、最低限は自身で守って生きる事を伝えた。

でもね、筋いいな。

しかも、一昨日には私の真似をして魔術?あ、これは魔法か。とにかく、使えたんだわ。

普通こんな特性はあまりないらしいから驚いた。

魔法使える亜種はいるけど、人間はあまりいない。

魔素の馴染みがあまりよくなく、たまにいる馴染みがいい人達を除くと殆ど使える人がいない。

まさに、稀少な特性持ちだ。

いや、軍隊に見つからなくて本当に良かった。

見つかったら魔導歩兵に強制徴集でされて、酷使されるところだったよ。

やっぱり彼はこの国にとって、重要な運命やくわりを持った子なんだと思った。


彼にはこの国の最悪な状態と原因を伝え、それを方法は問わないから打破せよと女神様が言っていた等を告げた。

何とも丸投げ感が否めないけど、私も女神様の勢力なのであまりヒントを出せないらしい。

だからコレ、女神様のカンペそのままです!

いや、余計な事喋るとボロが出そうなんで。


孤児院の近くなのでイニアとはお別れの予定だけど、大丈夫だよね?

後、少しで夜明だ。

最後の仕上げを、彼が目を覚ましたら終わらせなくちゃ。


***


目を覚ますと、あの魔物に襲われた村から僕を救いだし″役割″や様々な事について教え、ここまで導いてくれた″女神様の使い″様が近くに来るようにと言っていた。

すごく綺麗な、僕より少し年上に見える女の人ですごく強い。

そう、僕は神様から役割を授けられた子供のひとりで、だから魔物が村を狙ったのだ。


僕のせいで・・・、みんな死んでしまった。


でも、女神様の使い様は逆に世界をめちゃくちゃにする悪い奴は世界を良い方向に導く僕を自分勝手に殺そうとしただけで、僕は悪くないと言ってくれた。

負い目はまだまだあるけれど、だからこそ役割を果たさなくちゃって思った。


女神様の使い様の前に行くと、彼女は目を閉じ腕を広げる。

次の瞬間、目の前に小さな丸い虹の光を写した銀色の石が付いたペンダントが浮いていた。

光は石の部分から放たれ、垂れた紐も銀色に見える。

見た事のない石。

「″女神の加護″だ。」

静かな声。

あまりしゃべらない女神様の使い様の声だ。

「いつも持っている様に。」

「は、はい。」

何とか返事をして、目の前に浮いているペンダントを手に取る。

僅かに温かい気がした。

加護?ああ、きっと役割を持った子の証か何かだ。

僕は大事に手で包んだ。


***


革命主、イニア。

少年を指す後の名。

二人の盟友達とともに国を平和に導いた、新世代の国主。



この事をシオンが知るのもまだ先の話。

あ、イニア編(クエスト編1とも言います)が終わりました。

まだもうひとつあります。

早くクエスト終わらせて、国造り再開したいですね。

シオンもきっと思ってそうです。


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