序章
かなり始まりはシリアスっぽく見えますが、主人公の頭の中はやかましいくらいはっちゃけてます。
勿論、シリアスもありますが。
何故だろう?
この夢はものすごく懐かしい気がする。
彼女は、知っていると言うのとも違う気がする。
いつも見ている、嫌な感じも、ほとんどしない。
何だろう?何か、忘れている事を思い出せそうなのだが。
ーーー混乱あまねく、弱った世界の癒し手で、導き手。彼の子は今だ知らぬ神話と成る。
『竜の詩人(語り部)』
秋の色が日に日に濃くなる今日この頃。
私の実家の神社でも、毎年のごとく秋祭りか行われている。
私のいる、この田舎の古い神社。
『司月神社』。
かなりの田舎だとは思うのだけど、なかなか敷地も広く大きな神社で、何でこんな所にこんな立派な社が建っているのかと思い始めたのは小学校の高学年になったころからだった。
「人、多いわ。どこらかこんな田舎まで遠路はるばる?」
毎年の事ながら、毎年お決まりの台詞を呟く私。
まあ、最終日だし。最終日には『舞』があるし。それ、するの私だし。毎年の事だから、いいのだけど・・・。
呟きながらも、今年は″何か″が気になる。
そんな予感がまとわりつく。
だが、それが何なのかについては全く見当がつかず、結局『舞』の始りを告げに来た兄について舞台に上がったのだった。
境内に鳴り響く太鼓や笛、鈴の音。
舞台上では腰まである真っ直ぐな黒髪を後ろでひとつに結った、巫女装束の少女か軽やかに舞っている。
観客席より高い舞台上で舞う少女の視界を満たすのは、朱や橙の山々。
暮れていく空は濃紺に代わり、かがり火が照らし出す。
光る物なんて無かった筈だった。
楽器の調べや観客のざわめき意外、響く音も声もする訳は無かった。
世界はひとつで、ここだけだと思っていた。
私は『司田 紫音』。
ただの17歳。
ただの高校生だと、思っていた。
***
舞台の上で調度正面を向いたあの瞬間、視界を満たした色はまっ白な、目の眩む光だった。
同時に女の人の声もしたようだか。
刹那、何かに絡めとられる様な感覚に襲われ、気が付けば″ここ″にいた。
まず雨が降っている事と固いコンクリートの地面に転がされている事に気が付いた。
体はなんともなく、起き上がる。
よし、大丈夫ね。
周りは、何だか寂しい。
萎びた様な、殺風景な裏路地の様な、とにかくコンクリートの世界。
立ち上がると落差が視界の端に映り、壁の向こうに開けている場所でもあるのだろうか?
とりあえず歩き出す。
「う・・・わ。」
何に驚いたのかなんて分からないけど、とにかく驚いた。
コンクリートの無機質なビル壁。
頭上の空はなん角形か分からない、最早円に近い多面
体に切り取られていた。
そこから静かな雨が降り注ぎ、目の前の空間の土の部分を濡らす。
土の地面を踏みしめた。
固いがコンクリートではない。
そう思うと、この広場中央にある大きな噴水に歩み寄る。
噴水は止まっていた。
だが、中央の彫刻は素直にスゴイと思った。
丸い噴水の中央に台があり、丸い枠に模様が収まった飾りを抱く様にしで翼を広げ佇むドラゴンの像。
そして、響く女性の声。
現れる光の姿。
ゆったりと微笑む女性はこの後、とんでもない事を話し始めるのであった。
まだまだ、これからなのでよろしくお願いいたします!