ピクリとも
夜、寝ていた男は身体の異変に気づき目を覚ました。身体が鉛のように重く動かないのだ。
(なるほど、これが金縛りというやつか…)
男はベッドに横たわりながら、身体の動く部分を探っていく。まず、右手の指先に力を込めるが、指はピクリとも動かない。次に左手を試すが、右手同様、やはり指は硬直したまま動かなかった。
それならばと、両足の膝、指、身体の間接部分に力を込めていくが、いずれも結果は同じだった。
やがて、胸に急激な苦しみを感じた男は、身体を動かせぬまま意識を失った。金縛りの現象が心臓にも起こり…。