2話 叫び
「自殺じゃぁりません。私は、消そうと思っただけなんです。」
叫びは届かない。
どこまでもどこまでも、こだましたって、伝わる訳もなくて。
おかしいのは、私なの? 簡単に勝手な病名を付けられていく。
「境界性人格障害」
ボーダー。
私には、境界線なんてわからない。
生きてる。死んでる。の境界ラインがどこにあるかなんてわからない。
だって、息をするだけで疲れるの。
今日も、誰かが吐きだした溜め息の二酸化炭素に、酸欠になって息をするのも苦しいんだ。
病院のベットでソッと、携帯を開いてインターネットを開いてみる。
「ボーダーは、母親との幼い時の関係が原因という説明がありますが、詳しくは解明されていません。」
そりゃぁそうだよ。
人の心をクイズの様に簡単に解いていい訳がない。
自分の事すら、誰も理解なんてできてないのに、他人を勝手に決めつられたらたまったもんじゃなぃ!
「くそったれ」
また届かない叫びが一人でこだましていく。
シーンとした部屋一人でむなしく響いていく。
孤独なんかじゃないの。
私は、カミソリをソッと手首に当てていく。
血はあったかくて、安心してドクドクとした眠りにつく事ができた。
次の日、医者は言った。
「リストカットをする前に薬を飲むか、誰かを呼べと言ったでしょ。」
呆れた顔がガマガエルに似ていた。
何もわかってない。
医者なんてちやほや金持ちで、優等生でやってきたんだろう。
人の痛みわかってたまるもんか!
そんな余裕があるなら、私はこんな所に居る訳がないじゃない。
現にレキソタンを飲み過ぎて、私はここに居るんじゃない。
飲んだんじゃないのかな。流しこんだのかな。
お酒と忠和されて、私は最高の夢を見ていたはずなのに、邪魔をされてしまった。
だから、何を見ていたのかさえ覚えてないんじゃない。
泣きそうな顔で、グッと睨み付けたって、それすら見ていないじゃない。
人間なんてしょせん物みたいで、医者は仕事でとりあえず薬を処方して、運ばれた患者をとりあえず生かすけど、偽善者にも値しない。
その後は知らない。