幸せの続きを
ある日のできごとである。
「あのさ……」
彼の家でテレビを見ていたら、そう声をかけられた。
「んー?」
「ちょっとこっち向いて」
「はいよー」
私は彼に向き直る。
そうすると、彼はテレビのリモコンを手に取り、テレビの電源を消してしまった。
「何よ」
そう、彼を睨んだら。
「俺たち、付き合ってもう3年だな」
なんて、切り出された。
「……うん」
「こんなこと言うのもなんだけど、俺と一緒にいて、どう?」
「最高です」
即答してしまった。
なにその返答。どうした私。
「……なにそれ」
彼は、とても戸惑った顔をした。
「いや、思わずでた……、っていうか、なにって、そっちが聞いてきたんでしょー」
私もどうかと思ったけども……!
思わず口から出てしまったものだから、しょーがない。
「ん……まあ、そうなんだけど……そっか」
「何に納得してるんだ、あんたは」
「いや」
彼はそう言うと照れくさそうに、にやにやとし始めた。
「なに、にやついてんの?」
「いや、なんか、うん」
「……なんなのさ」
「ちょっと自信なかったんだけど、決心ついたわ」
「なんの?」
「俺と、これからもずっと一緒にいてください」
目の前に出されたのは、指輪だった。
「へ?」
気の抜けた声が出てしまった。
「ゆびわ……?」
目の前にあるのは、そう、指輪。
まぎれもなく、指輪だった。
「え?……あ、嫌だったか!?」
目の前の指輪を差し出した張本人が焦りだす。
「……いや」
私は、放心状態のようになりながらも、そう答えた。
すると、彼はさっと指輪をポケットにしまって、あわてて言った。
「うあああああ!ごめん!さっきのはなかったことに」「嬉しい」
「……え、今、なんて」「嬉しい」
「ごめん。もう一回……」
とか言いながら、目の前の男は、顔を真っ赤にしながら、にやついていたので、
「嬉しいって言ってんでしょおー!!」
と、そいつのほっぺたをつねってやった。
「ていうか、なんで、家の中でそういうこと言うのよー!
どっかのレストランとか!夜景見ながらとか!」
照れくさくて、思わず出たのは文句だった。
「いや、俺インドアだし」
「なにをおおおおお」
と言いながら、また、そいつのほっぺたをつねった。
つねられても、目の前のその人は笑っていた。
私も、笑っていた。
この幸せをいつまでも。
──そう願ってる。
ご拝読、ありがとうございました……!