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聖女独占

このままじゃ、ルミエルが可哀想だ。

聖女だの象徴だの言われて、

近づくな、触れるな、見るだけにしろ――

そんなの、人間の扱いじゃない。

でも。

(だからって)

(毎日一緒に寝てる私が) (ルミエルに触れられないのは) (普通に困る)

私は深く息を吸った。

そして、やった。

「――公式声明を出します」

広場が静まる。

女王、サクラ、教会関係者、信徒、全員がこちらを見る。

私は、できるだけ事務的な声で言った。

「聖女ルミエルに触れてよいのは」 「神のみとします」

一拍。

世界が、理解を拒否する。

「……神?」

誰かが呟いた。

「神とは……」 「つまり……」

視線が、

一斉に――私に集まる。

(あ、これ)

(やったな)

サクラが、震える声で確認する。

「ナギ様」 「それはつまり――」

「私です」

即答した。

逃げない。

逃げたら、もっと面倒になる。

ざわあああああ――!!

「神が!!」 「神が公式に!!」 「聖女への接触権を!!」

「独占……?」 「いや、神権……!」

「毎日一緒にいるのは」 「神だから……?」

(違う) (普通に宿の都合)

アレンが頭を抱える。

「……俺、もう帰っていいか?」

セリオは顔を赤らめている。

「ぼ、僕たち……」 「とんでもない所に……」

ルミエルは。

私の袖を、きゅっと掴んだ。

「……ナギ様」

不安と、少しだけ安心が混ざった声。

「私……」 「神様に触れていただくのは……」

私は小さく、ため息をついた。

「大丈夫」

声を落とす。

「外では、ね」

その瞬間。

《聖性(誤)》が最終形態に進化する。

【世界公告】

聖女ルミエルに触れてよいのは、

神ナギのみである。

理由:

・神は清浄である

・神は例外である

・神は毎日一緒に寝ている(※重要)

「最後の一文いらなくない!?」

アレンの叫びは、

誰にも届かなかった。

ルミエルは、私の隣で小さく笑った。

「……じゃあ」

「今日は、神様と一緒に寝ても」 「正しいんですね?」

「……公式には」

私は視線を逸らした。

(最悪だ)

(でも)

(守れてはいる)

こうして世界は、

聖女を「遠ざける」

神を「近づける」

二人の距離だけを正当化する

という、

最も歪んだ均衡に到達した。

そして明日――

「神以外が触れたらどうなるのか」 を巡る、

新たな地獄が始まる。

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