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新しい宗派

その分裂は、

静かに、しかし取り返しのつかない形で起きた。

正式名称は――

《沈黙黙示会・ルミエル派》

通称、黙示派もくじは

発端は単純だった。

「聖女ルミエル様は――」 「語らない」

この一文が、

教会内部で異様にウケた。

通常派の司祭が言う。

「いや、語らないのは偶然で――」

黙示派の信徒が被せる。

「違う」 「“語らない”のではない」 「語る必要がない高みに至っておられる」

「……は?」

「沈黙とは、言葉を超えた愛の形」

この時点で、

もう戻れなかった。

黙示派の特徴。

・説教がない

・祈りがない

・ただ、黙って見つめる

集会の様子。

全員、椅子に座り、 中央に置かれた空席を じっと見ている。

「これは……何を?」

「“不在の顕現”です」

「顕現してないが?」

「だからこそ尊い」

服装もおかしい。

全員、 一切の装飾なし 無地、無色、無意味。

理由。 「ルミエル様が“たまたま同じ服を着ていたから”」

洗濯?

概念が廃止された。

「匂いは俗」 「無臭こそ救済」

※実際はちょっと臭い。

性に関する教義も終わってる。

「触れたいと思う心――」 「それ自体が罪」

「では、触れなければ?」

「想像した時点でアウト」

結果。

全員、 視線を床に固定。

しかし内心は――

「見てはいけない……」 「だが、尊い……」 「この葛藤こそが……」

全員、 内面だけが異様に肥大化した変態。

教会本部が止めに来る。

「これは異端だ!」

黙示派代表が答える。

「我々は何もしていない」

「だから問題なのだ!」

「何もしない姿勢を否定するのは」 「ルミエル様の否定だ」

「誰がそんなこと言った!」

「言っていない」 「だから確定」

最終的に。

キリスト教会内で、 正式に分派が認められた。

理由: 議論が一切成立しなかったから。

赤竜亭。

ルミエルが私に聞く。

「……最近、外の人たち」 「目を合わせてくれません……」

私は即答した。

「成功してる証拠」

「え……?」

アレンが頭を抱える。 「最悪だ……」

セリオは遠い目をする。 「……象徴って、こうやって生まれるんだね」

ルミエルは、 まだ何も分かっていない。

今日も彼女は、 ただ椅子に座り、 困った顔をしている。

それだけで――

新しい宗派が、拡大を続けていた。

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