表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/163

最高級モンスター料理

赤竜亭の裏口が、物理的に開かなくなった。

「……なんだこの箱の山」

扉の向こうで、バルトの声が低く響く。

「開けて」 「開けられねえ」

ガン、と木が鳴った。

「金貨が」 私は即答した。 「大量にある」

沈黙。 次の瞬間、扉が蹴り破られた。

「……何した」

カウンターの前。 床に並べられた箱が、全部開いている。 中身は――金貨。

「女王陛下の侍女が置いていった」 「著作権料」

バルトは一枚拾い、歯で噛んだ。 「本物だな」

「で?」 腕を組む。

「全部、料理にして」 私は言った。 「最高級で」 「量は?」 「全部」

一拍。

「……全員、覚悟しろ」

その夜、赤竜亭は戦場になった。

魔獣の肉。 希少魚。 幻果実。 ダンジョン深層産の香草。

「これ普通は王族用だぞ!?」 アレンが叫ぶ。

「私が頼んだ」 「そうじゃなくて!」

セリオは静かに皿を見つめている。 「……魔力、濃すぎないか」 「うん」 「食べるとどうなる」 「知らない」

バルトが鍋を振りながら言った。 「死なねえ程度には調整してやる」 「それ最低ラインじゃない?」

ルミエルは両手を組んで祈っている。 「これは……祝宴……」 「違う」 「聖餐……?」 「違う」

最初の一口。

世界が、弾けた。

《ステータス更新》

私の視界に、文字が洪水のように流れる。

《HP上昇》 《STR上昇》 《DEX上昇》 《INT上昇》 《耐性:毒+》 《耐性:精神+》

「……なにこれ」

アレンが呻いた。 「身体が軽い……」 次の瞬間、椅子を粉砕。

「おい!」

セリオは静かに目を閉じ―― 「……魔力循環、三倍」 「何それ怖い」

ルミエルは光り始めた。 「神よ……」 「やめて」

バルトは腕を組んで眺めている。 「……料理で人が進化するの、初めて見た」

二皿目。

《全員レベルアップ》 《基礎ステータス大幅上昇》

三皿目。

《隠し適性開放》

「ちょっと待って」 私は手を上げた。 「これ、食べ続けて大丈夫?」

バルトは即答した。 「もう手遅れだ」

食後。

床に転がる四人。

アレンは天井を見ている。 「……俺、今ならドラゴン殴れそう」 「やめて」

セリオは指先に火と水を同時に出している。 「理論が壊れてる……」 「やめて」

ルミエルは静かに微笑んだ。 「これは……奇跡」 「やめて」

私は言った。 「バルト」 「なんだ」

「また頼む」 「二度とやらねえ」

即答。

だが――

カウンターの下で、 バルトは小さく金貨を数えていた。

「……次は予約制だな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ