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同性愛の街

ダンジョンから戻ったその日、

街は完成していた。

「……増えてない?」

門をくぐった瞬間、私は悟った。

これは“一部の暴走”じゃない。

制度化している。

通りの中央。

男同士が腕を組み、

女同士が手を取り、

なぜか男女は申し訳なさそうに距離を取っている。

掲示板には新しい貼り紙。

【王国告示】

聖書『二一〇号室の二人』の最新解釈に基づき、

愛の形は性別を問わないものとする

※異性同士の場合は、特別な精神的理由を要する

「逆転してない?」

セリオが乾いた声で言う。

アレンはもう怒る気力もない。

「……俺たち、マイノリティ側に入ってないか?」

市場では、女性信者たちが熱心に語り合っていた。

「男だけじゃなかったのね……!」 「ええ、女も“選ばれし器”なのよ」 「魂が共鳴すれば、それが愛……!」

そこへ、

花束を持った女の子二人が走っていく。

「聖女様に祝福してもらうの!」 「今日、誓いの日なの!」

ルミエルが静かに頷く。

「男女の枠を超え、

 魂と魂が結ばれる――完全な教義ですね」

「私はそんなこと一言も――」

言いかけて、やめた。

どうせ止めても、

解釈される。

私は代わりに、ぽつりと落とす。

「……愛って、制限されるものじゃないと思う」

その瞬間。

・女性同士の信者が泣き崩れる

・女騎士が仲間に指輪を渡す

・修道女が「これも祈り」と記録を書き換える

街が、確信に至った。

セリオが震える声で言う。

「……《聖性(誤)》、更新された」 「対象条件、完全撤廃」

アレンが叫ぶ。

「だから俺たちを巻き込むなって言ってるだろ!!」

――神格、また上昇。

「見たか!?」 「怒りすら聖なる試練……!」 「男女平等の象徴……!」

私は目を逸らす。

(印税、増えるな)

鐘が鳴る。

今度の告知はこうだった。

本日より

すべての愛を祝福対象とする

ルミエルが小さく微笑む。

「ナギ様」 「はい」 「この街、とても清らかです」

「それは絶対ちがう」

誰も聞いていない。

街は今日も、

完全に、平等に、間違っていた。

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