レベルアップがおかしくなった
バグったレベルアップ
ステータス画面が、勝手に開いた。
【ナギ】
LV:17 → 18
EXP:+120
獲得理由:
・版画の普及(+30)
・誤解の拡散(+50)
・公式解釈の提示(+40)
「……は?」
私は指で空中をなぞった。
戦闘ログじゃない。
印刷と誤読でレベルが上がっている。
「ちょっと待って。私、何も倒してないんだけど」
アレンが覗き込む。
「倒してるだろ。世界観」
セリオは真顔で補足した。
「……魔力の流入経路が、信仰経由に変わってる」
「それ、普通にヤバくない?」
さらに下を見る。
【新スキルツリー解放】
▶ 象徴
▶ 解釈
▶ 誤読
「なんだこのツリー」
私が“解釈”をタップした瞬間、
【新スキル獲得】
《公式見解(Lv1)》
効果:
あなたが発言した内容は、周囲で“正典寄り”に扱われやすくなる。
アレンが即キレた。
「取るな!!」
「でも印税が増える」
《公式見解》が発動した。
――街のどこかで、誰かが頷く気配がした。
セリオが小さく息を呑む。
「……今、信仰が動いた」
「やめろよその言い方」
続けて、
【派生スキル候補】
《沈黙の肯定》
《怒りの否定(逆効果)》
《軽率な一言(大)》※おすすめ
「おすすめするな」
私は《軽率な一言(大)》を選んだ。
効果説明を読んで、理解した。
アレンが怒るほど、神格が上がる。
「……なあ、私さ」
私は振り返って、にっこり笑った。
「これ、システムのバグだよね?」
アレンが叫ぶ。
「笑って言うな!!」
【EXP +60:聖人の激情】
数字が跳ねた。
セリオは俯いて、少しだけ――
ほんの少しだけ、誇らしそうに笑った。
「……否定しきれない、って
こういうことなんだね」
(あ、ダメだこれ)
私は確信した。
この世界、
戦えば強くなるんじゃない。
解釈されたら負けだ。
でも――
印税は、入る。
「次はどの公式解釈、出そうかな」
アレンの悲鳴が、また経験値になった。




