表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/89

ギルドで鑑定チート能力はっけん?

ギルドに入ると、まず目に入ったのは人の多さだった。

鎧に剣、ローブに杖。

そして――美男美女。

「あの腐れ女神、美男美女が多いって言ってたのは本当みたいだな」

特に、男性二人組のパーティーが目に入る。

距離感が近い。背中を預け合う立ち位置。

……薄い本が、頭の中で分厚くなっていく。

早く執筆したい。

「――あ、あの。いらっしゃいませ」

声をかけられて、現実に引き戻された。

カウンターの向こうには、眼鏡をかけた可愛らしい受付嬢が立っている。

控えめで、少し気弱そうだ。

なぜか、私を見る目が怯えている気がする。

「見かけない方ですが、新規冒険者登録でよろしいでしょうか?」

「うん、登録お願い」

「か、かしこまりました……! ではまず、この水晶に手を置いてください」

来た。

私は知っている。

これは、転生者あるあるイベントだ。

――チート能力がバレるか、

――魔力量が多すぎて水晶が粉々になるか。

どっちかだ。

(黒髪、黒い瞳……間違いない。

この人は、地球の“日本”から来た転生者だ)

受付嬢は、表情を必死に取り繕いながらも、内心では確信していた。

転生者は例外なく、歴史に名を残す。

魔王討伐、新宗教の開祖、未知の技術の発明。

形は違えど、必ず“何か”を成し遂げる存在。

(この人が触れた瞬間、水晶は粉々になる……!)

「じゃあ、触るね」

――……。

何も起きない。

「……あれ?」

光らない。

割れない。

沈黙。

「水晶壊れるパターンじゃないの?」

(え?)

受付嬢は目を見開いた。

水晶は無傷。

表示された数値を見て、さらに固まる。

(……オール、5?)

ありえない。

一般的な十歳児以下の数値だ。

(転生者じゃない?

でも黒髪黒眼なんて、この世界じゃほとんど……)

「えっと……」

「早く冒険したいから、ダンジョン教えて」

「い、いえっ!? あ、あなたがダンジョンに行ったら、確実に死にますよ!」

「でもお金ないし。早く稼がないと」

受付嬢は一瞬悩み、それから慌てて言った。

「そ、それでしたら……隣の宿兼酒場が、人手不足で……。

まずは、そちらで働いてみてはどうでしょうか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ