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魔法習得

階段のきしむ音がした。

「……下が、騒がしいですね」

眠そうな声。 ルミエルだった。

白い外套を羽織ったまま、階段の途中でこちらを見下ろしている。

「おはようございます」 「皆さん、もう出発ですか?」

「ちょうどよかった」 私は振り返る。 「今からダンジョン行くところ」

「目的は?」

「モンスター食べる」

一瞬、間があった。

「……どのモンスターでしょうか」

「ファイヤーリザード」

ルミエルは一拍置いて、静かに頷いた。

「火属性ですね」 「祝福の相性は、悪くありません」

(祝福でどうにかなる話なのかそれ)

アレンがため息をつく。

「なんでシスターまで自然に合流するんだよ」

「神の導きでしょうか」

「やめろそういう言い方」

ダンジョン中層。 溶岩が固まったような赤黒い壁の奥で、そいつは見つかった。

――ファイヤーリザード。

鱗の隙間から、熱が揺らめいている。

「来るよ!」

アレンが前に出る。 セリオの詠唱が重なり、ルミエルが後方で祈りを捧げる。

私は―― 左手にウォーター、右手に剣。

「よし……!」

水をまとわせた剣で突っ込む。 蒸気が弾け、リザードが悲鳴を上げた。

数分後。

倒れたファイヤーリザードを前に、 私は腕を組む。

「……で」 「どこから?」

「普通に肉だね」

「だよね」

焼いた。 さすがに生は無理だった。

香ばしい匂いが広がる。

「いただきます」

一口。

――熱い。

喉の奥が、じんわり燃える感覚。 次の瞬間。

「……っ」

胸の奥で、何かが“弾けた”。

視界の端が赤く染まる。 掌が、自然と前に出た。

「……え?」

火花が散り、 小さな炎が、私の手のひらに灯った。

「おお……」

セリオが目を見開く。

「成功だね」 「ファイヤー、習得だ」

アレンが苦笑する。

「飯食って魔法覚えるとか、ほんとこの世界どうなってんだよ」

ルミエルは、私の手元の炎をじっと見つめていた。

「……あたたかいですね」

そう言って、少しだけ微笑む。

「ナギさん」 「きっと、向いています」

「なにが?」

「この世界が」

私は炎を消して、肩をすくめた。

「だったらもう少し、まともに歓迎してほしいけどね」

――こうして私は、 ウォーターに続いて、ファイヤーを覚えた。

食後に。

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