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教祖跪く

神ナギ様、ようこそお越しくださいました。

そして――

初めまして、聖アレン様、聖セリオ様。

そう名乗って、教祖サクラは迷いなく跪いた。

「……は?」

アレンの口から、間の抜けた声が漏れる。

状況が、まるで理解できない。

「聖書にはこう記されています」

サクラは恍惚とした表情で続けた。

「お二人は、愛を深めるため、毎朝口づけを交わしていたと」

(やばいこんなことになるなんて)

「私の魂を高めるために」

サクラは深く頭を下げる。

「どうか今、この場でその愛の儀式をお見せいただけませんか」

「は?」

再び、アレンの思考が停止する。

隣で、セリオが小さく息をのんだ。

視線が揺れ、頬がゆっくり赤く染まっていく。

「……え?」

沈黙。

重すぎる沈黙。

「……も、申し訳ございません」

突然、サクラは打って変わって震えだした。

「私のような未熟者が、

聖人の愛を目にしようなど――

なんと、なんと身の程知らずな……」

額が床に触れるほど、深く頭を下げる。

(違う、違う、違う)

なぎの背中を、嫌な汗が伝う。

こいつらは、

ただ同じ部屋に泊まってただけだ。

飯を食って、並んで寝て、

ちょっと仲が良かっただけの――

それだけの男二人だ。

なのに。

世界が、

勝手に意味を盛り始めている。

宗教が、

妄想に正当性を与え始めている。

(やばい)

(これ、笑い話で済まなくなるやつだ)

なぎは悟った。

――BLで世界を救ったつもりが、

世界がBLを神話にし始めている。

そしてそれは、

誰にも止められない速度で進行していた。

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