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BLほんを教祖に献上したいしたいシスター
「なぎさん。この本を、教祖様にお見せしてもよろしいでしょうか?」
「……いや、ダメに決まってるだろ」
反射的に返した声が、少し裏返った。
「私、確実に死刑になるだろ、それ」
「そんなことはありません」
ルミエルは即答だった。迷いが一切ない。
「教祖様は、聖女と呼ぶにふさわしい、たいへん寛大なお方です。
私を高めてくださったなぎさんを、罰するなどありえません」
どこから来るその信頼。
(男女交際で死刑にするような奴、信用できるか……)
喉まで出かかった言葉を、なぎは飲み込んだ。
「……いや、その、これは教義とか修行とかじゃなくてだな」
「ですが私は、確かに高められました」
きっぱりと言われて、逃げ道が消える。
「魂が震え、思考が澄み、世界が少し違って見えました」
それはそれで、たぶん違う方向に行っている。
「教祖様も、きっとお喜びになります」
(やめろ。頼むから、それ以上“善意”を積み重ねるな)
なぎは頭を抱えた。




