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異世界BLの始まり
おはようございます。
なぎさん、あなたは……天才です。
突然そう言われて、なぎは一瞬言葉を失った。
私の宗教では、男女の交際が禁じられています。
ですがその代わりに、「己を高めること」そのものは強く推奨されているのです。
けれど私は、
どうすれば自分を高められるのか、ずっと分かりませんでした。
――昨日、あの本を読むまでは。
ルミエルは少しだけ頬を赤らめ、視線を伏せる。
ページを追ううちに、不思議な感覚に包まれました。
胸の奥が熱くなって、思考が澄んでいって……
まるで魂が、ひとつ上の段階へ昇華したような。
「……あれは、修行書だったのですね」
真剣そのものの声でそう言われて、
なぎは天井を見上げた。
(いや、それは……たぶん違う)




