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BlたいGL

ダンジョン中層。

通路の先で、見覚えのある背中を見つけた。

「あ」

210号室の二人だった。

剣士の男と、ローブ姿の魔法使い。

「お、昨日の子たちじゃん」 「無事だったんだな」

言葉は普通なのに、距離が近い。

肩が触れてるし、視線のやり取りがやたら多い。

(……近くない?)

戦闘が始まると、さらに露骨だった。

「右、任せた」 「了解。魔力、合わせる」

息がぴったり。

コンビネーションも完璧。

(あー、これ絶対そういうやつだ)

「……たぶん、私が汚れてるだけだな」

ぽつりと呟いたら、ルミエルが首をかしげた。

「何がですか?」 「いや、なんでもない」

その時、別方向からスライムが跳ねてくる。

「なぎさん、後ろです」

ルミエルの手が、私の背中に添えられた。

引き寄せられて、距離が一気に縮まる。

「わっ」 「動かないでください」

ウォーターウォールが展開され、酸を防ぐ。

近い。

近すぎる。

「……その、ありがとう」 「当然です。パーティーですから」

そう言って離れない。

210号室の剣士が、ちらっとこちらを見る。

「……あっちも仲いいな」 「ですね」

なぜか誇らしげなルミエル。

スライムを倒し終わり、短い休憩。

「なぎさん」 「なに?」 「怖かったですか?」

少しだけ、声が柔らかい。

「……ちょっと」 「では、こうしてください」

彼女は自分の外套の端を、私の手にそっと持たせた。

「離れません」 「……子供扱い」 「嫌でしたか?」 「……嫌じゃない」

210号室の魔法使いが、ぼそっと言う。

「なんだあれ、可愛いな」

私は思わず顔が熱くなった。

(負けてない。たぶん)

ダンジョンは危険で、

敵は多くて、

でも――

悪くない。

私は外套を握ったまま、前を向いた。

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