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やばう宗教だった
朝起きると、ルミエルの姿がなかった。
嫌な予感がして、一階に降りる。
酒場はすでに開いていて、
カウンターの端で――
ルミエルが、
ゴブリンの脳みそをつまみに酒を飲んでいた。
「……朝から酒?」
「ええ」
さらりと答える。
「脳は鮮度が命ですから」
命の使い方がおかしい。
「ていうか、あんたの宗教どうなってんの?」
「とてもゆるい、素晴らしい宗教ですよ」
そう言って、酒を一口。
「ところで」
嫌な間があった。
「性に関しては、どう思いますか?」
「……急にどうした」
「参考までに」
嫌すぎる前振りだ。
「我々の宗派では、
男女がお付き合いした時点で死刑です」
「は?」
「肉体関係があった場合は、
拷問ののち、死刑です」
「待って待って待って」
頭が追いつかない。
「じゃ、じゃあ……」
喉が鳴る。
「キ、キスとかは……?」
「肉体関係より軽い拷問ののち、死刑ですね」
軽いって何。
「……」
私はそれ以上、何も聞けなかった。
同性のキスについては、
恐ろしくて聞けなかった。




