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ファーストキス

赤竜亭を出た頃には、外はすっかり夜だった。

石畳は冷えていて、昼の喧騒が嘘みたいに静かだ。

「……今日は、ここに泊まっていきます」

ルミエルが、少しだけ視線を逸らして言った。

「宿、満室でした」

「え、じゃあ――」

「なぎさんの部屋が、空いていると聞きました」

聞いたの誰からだよ。

たぶんバルドだ。

「べ、別にいいけど……狭いよ?」

「問題ありません。ダンジョンの壁より柔らかいです」

比較対象がおかしい。

二階の201号室。

簡素なベッドがひとつ、机がひとつ、椅子がひとつ。

二人で立つと、少し気まずい距離になる。

「……どうする? ベッド」

「なぎさんが使ってください」

「え、でも」

「私は祈れれば、どこでも眠れます」

そう言って、ルミエルは床に敷いた外套の上に座った。

「それはさすがに」

結局、ベッドを半分ずつ使うことになった。

背中合わせ。

触れない距離なのに、気配は近い。

「……酒、強いんだね」

「強くはありません」

暗闇の中で、彼女の声は少しだけ柔らかかった。

「酔うと、眠くなるだけです」

「それ、強い人の言い方」

小さく笑う気配。

しばらく沈黙が続く。

窓の外で、風が鳴った。

やがて、呼吸がゆっくりになる。

寝たらしい。

まぢかでみるとやっぱり可愛すぎる

緩い宗派みたいだし

キスくらいいよね

私にとってはファーストキスだ

ルミエルはどうなんだろう?

Blもglも私は大好きなのだ

天井を見つめながら、私は思う。

異世界に来て、

初めて“独りじゃない夜”だ。

……悪くない。

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