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モンスター爆食

それから一週間後。

帳簿を確認したセリオは、無言で数字を二度見した。

「……入ってますね」

桁が、ひとつおかしい。

「“解釈本使用料”“説教引用料”“写本改変料”……」

「全部、正式な著作権料です」

アレンが口笛を吹いた。

「司祭ども、真面目に払ってるのが一番怖えよ」

ルミエルは帳簿を覗き込み、目を丸くする。

「これだけあれば、国の一年分の予算……いえ、それ以上です」

ナギは数字を一瞥しただけで、帳簿を閉じた。

「……よし、飯だ」

その日の夜。

赤竜亭の長テーブルは、モンスター料理で埋め尽くされていた。

灼岩竜の厚切りステーキ。

深層スライムの透明煮込み。

雷鳥の丸焼きに、魔獣の内臓シチュー。

「いただきます!」

誰からともなく箸とフォークが伸びる。

「うまっ!」

「これ、前より味良くないか?」

「脂が違いますね……魔力の抜けが絶妙です」

会話は雑で、戦争の話は一切出ない。

ナギは黙々と肉を食べ、

セリオは次の帳簿計画を考え、

アレンは骨の山を築き、

ルミエルは珍しくおかわりまでしていた。

「……平和だな」

アレンがそう言うと、ナギは一瞬だけ考えてから答えた。

「いや」

皿の最後の一切れを口に運び、

「金があると、飯がうまいだけだ」

赤竜亭には、笑い声と、

肉を焼く音だけが響いていた。

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