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腐女子切れる

報告書を最後まで読み切ったナギは、しばらく黙っていた。

机の上に置かれた紙束。

「……かもしれない」が何度も目に入る。

ナギは深く息を吐いた。

「……はぁ」

声は低く、静かだった。

だが、その静けさが一番危険だった。

「逃げてるな」

独り言のように呟く。

「分からないなら分からないでいい。

 だが、“神の言葉”を扱っておいて、

 責任だけ曖昧にするのは気に入らない」

近くにいたルミエルが、そっと視線を逸らす。

――これはもう決まった後だ。

ナギは椅子から立ち上がった。

「サクラを呼ぶ」

淡々とした命令だった。

怒鳴りも、威圧もない。

だが、その口調には「やり直し」の余地がなかった。

ほどなくしてサクラが現れる。

「お呼びですか、ナギ様」

ナギは報告書を軽く叩いた。

「司祭マルコス」

「“かもしれない”で神を語るのをやめさせろ」

サクラは一瞬だけ首を傾げ、すぐに理解した。

「断言させればよろしいのですね」

「違う」

ナギは即答した。

「断言じゃない。

 “逃げずに語れ”だ」

サクラは微笑み、静かに頭を下げた。

「承知しました」

次の瞬間、彼女は姿を消した。

同じ頃――

司祭マルコスは、理由の分からない胸騒ぎに、原稿の手を止めていた。

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