著作権料
ナギは、書類を一枚めくった。
ナギ
「……確認だ。
著作権そのものは、過去に認めている」
セリオ
「はい。条約文書にも残っています」
ナギ
「改変も、禁止していない」
アレン
「じゃあ何が問題なんだよ」
ナギは顔を上げた。
ナギ
「金を払っていない」
セリオ
「……著作権料、ですね」
ナギ
「当然だ」
数日後、ローマ公国旧教会区。
司祭たちの前に、再び王国の使者が立った。
今回は糾弾ではない。
事務的な通達だった。
使者
「サクラ教教祖代理、ナギ様より正式通達」
老司祭
「今度は、何でしょうか」
使者
「改変、解釈、注解の作成――
すべて許可されています」
司祭たちの表情が、わずかに和らぐ。
使者
「ただし」
空気が締まる。
使者
「原典使用料、
および派生著作物利用料を、
所定の割合で納めてください」
若い司祭
「……利用料、ですか?」
使者
「はい。
印刷部数、写本数、講義使用回数に応じます」
老司祭
「……神の教えに、料金が?」
使者
「“神の教え”ではなく、
“神が書いた本”ですので」
沈黙。
老司祭
「……支払わねば」
使者
「はい。請求書はこちらです」
分厚い紙束が、机に置かれた。
その夜。
ナギは報告を受け、静かに頷いた。
ナギ
「改変は自由。
だが、価値があるなら対価を払え。
それだけの話だ」
アレン
「宗教っていうか、出版社だな」
ナギ
「秩序だ」
ナギは椅子に背を預け、呟いた。
ナギ
「……勝手に神聖化されるより、
金の話をしてる方が健全だ」




