晩餐会
城の大広間では、簡素だが十分な料理が並べられていた。
豪奢な祝宴ではない。
だが、戦争が終わったあとには、それで足りた。
女王
「形式張った言葉は省きます。
皆さん、お疲れさまでした」
杯が上がり、静かな音で触れ合う。
アレンは周囲を見渡し、肩の力を抜いた。
アレン
「……生きて終われた宴って、久しぶりだな」
セリオ
「同感だ。前回は乾杯の途中で警報が鳴った」
女王は小さく微笑む。
女王
「今回は、最後まで飲めますよ」
ナギは席の端で、いつも通りの表情だった。
勝利の余韻にも、戦争の重さにも、偏らない。
サクラは料理を前に首を傾げている。
サクラ
「……戦争、終わったんですよね?」
ナギ
「ああ。公式には」
サクラ
「公式?」
ナギ
「細かいことは気にするな」
サクラ
「分かりました」
分かっていないが、納得はした顔だった。
セリオ
「……改めて思うが、君がそれを言うと怖いな」
サクラ
「?」
アレン
「いや、いい。褒め言葉だ」
女王はサクラに向き直る。
女王
「サクラ。あなたには感謝してもしきれません」
サクラ
「そうですか」
女王
「はい。国を救いました」
サクラは少し考え、ナギを見る。
サクラ
「国、でしたっけ?」
ナギ
「そこは流してやれ」
サクラ
「では、頑張ったということで」
ナギ
「……ああ。よくやった」
その一言で、サクラは満足そうに頷いた。
大広間には、
ようやく“戦争が終わったあとの音”が戻っていた。




