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じこしょうかい

赤竜亭の扉を開けた瞬間、熱気と匂いが押し寄せてきた。

肉と酒と汗と、鉄の匂い。

冒険者で満席の店内は、今日も相変わらず騒がしい。

「お、なぎじゃねえか。生きてたか」

カウンターの奥から、店長のバルドが声をかけてくる。

「……ぎりぎり」

そう答えながら、私は後ろを振り返った。

修道服姿の金髪の女。

ダンジョンでは血まみれのモーニングスターを振り回していたとは思えないほど、今は静かに佇んでいる。

「その人は?」

バルドが目を細める。

「助けてもらったシスターさん」

「なるほどな」

バルドは一瞬で納得したように頷いた。

「自己紹介がまだでしたね」

シスターは軽く頭を下げる。

「私はルミエル。神に仕える修道女です。

普段はダンジョンで、討伐と……素材回収をしています」

「素材回収って言い方がもう怖えんだが」

私が小声で突っ込むと、ルミエルは不思議そうに首をかしげた。

「必要な仕事ですよ?」

バルドが笑ってカウンターを叩く。

「ま、立ち話もなんだ。座れ。

今日はちょうどいい肉が入ってる」

テーブルに運ばれてきたのは、赤黒いスープと厚切りの肉。

見た目はワイルドだが、湯気と香りだけで腹が鳴る。

「これは……?」

「ゴブリンだ」

即答だった。

「え」

「煮込みです。内臓は取り除いてありますから安心してください」

安心できるか。

一瞬ためらったが、昼から何も食べていない。

私は意を決してスプーンを口に運んだ。

――うまい。

臭みはなく、脂は甘い。

噛むたびに、身体の奥がじんわり熱くなる。

「……これ、ほんとにゴブリン?」

「ええ」

ルミエルは当たり前のように頷いた。

「モンスターは、正しく処理すれば良質な栄養源です。

生き残るためには、選り好みしてはいけません」

その瞬間、頭の奥で何かが弾けた。

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……またか。

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