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帰還
戦争は、集結した。
撤退命令でも、降伏宣言でもない。
戦闘行為そのものが、自然に終わった。
前線では誰も剣を振らず、
魔法も飛ばず、
命令だけが宙に残ったまま消えていった。
将校たちは状況を確認し合い、
兵士たちは武器を下ろし、
「終わったらしい」という曖昧な理解だけが共有された。
勝敗は宣言されなかった。
講和も結ばれていない。
ただ、
これ以上戦争を続ける理由が、
どこにも見当たらなくなった。
こうしてこの戦争は、
誰にも止められず、
誰にも続けられず、
集結した。




