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肉食シスター
「ちなみに」
シスターは淡々と続ける。
「ゴブリンは煮込みが基本ですが、
群れの中で位が高い個体は
焼いた方が魔力効率が良いです」
「位……?」
「武器の質、歯の摩耗、筋肉の付き方で判断します」
「そこまで見るんですか!?」
「はい。
あとスライムは部位ごとに用途が違いますし、
コボルトは燻製が最適です」
もう完全に料理人の目だった。
「……シスターさん、冒険者歴は?」
「今年で七年目です」
「七年!? それでまだシスターなんですか?」
「信仰と食事は両立します」
力強い断言。
「修道院では
“食べられるものを無駄にするな”
と教えられました」
「神様、そこ厳しいんだ……」
「はい。飢えは最大の罪ですから」
この人、
ダンジョンを信仰と胃袋で攻略してるタイプだ。
私はようやく理解した。




