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人肉食に震える

数日後。

夜明け前のザビエル軍陣営。

乾いたパンが配られ、誰もが無言で齧っていた。

そこへ、斥候が戻る。

「……報告があります」

将校が顎で促す。

「敵軍は――倒した兵を、食糧として処理しています」

一瞬、風の音だけが残った。

「処理……って」

「つまり……」

誰かが言葉を続けられず、口を閉じた。

「鍋で、だ」

斥候は視線を逸らしたまま言う。

「焚き火を囲んで、普通に……食ってました」

ざわ、と空気が崩れる。

「冗談だろ」

「人、だぞ……?」

別の兵が、顔を青くして呟く。

「……自分たちの仲間は?」

「食っていない。

陣の中は、きっちり分けていた」

その言葉が、逆に刺さった。

「線、引いてるのか……」

「じゃあ、俺たちは“食われる側”ってことかよ」

誰かが、吐き気を堪えるように口を押さえた。

乾いたパンを噛んでいた兵が、突然それを地面に落とす。

「無理だ……」

「勝つために、そこまでやれる連中と?」

焚き火を見つめながら、別の声が漏れる。

「神は……

ああいう覚悟を、許すのか?」

答える者はいない。

ただ、火の音だけが、不自然に大きく響いていた。

その夜、

ザビエル軍の兵たちは腹を満たしても眠れず、

敵ではなく、“敵の在り方”に怯え続けた。

士気は、音もなく、確実に落ちていった。

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