兵士と冒険者
前線・女王軍本陣。
「……以上の理由により」
「なぎPTを前線に投入する」
女王の命令が下った瞬間、
周囲の兵士たちがざわめいた。
「え、冒険者?」
「正規軍じゃなくて?」
サクラが即座に一歩前へ出る。
(雑用係なので最前列にいる)
「安心してください皆さん!」
「この方々は“なぎPT”!」
「人類の最終兵器です!!」
「盛るな!!」
なぎが即ツッコミを入れる。
「最終兵器じゃないから」
「普通の冒険者だから」
兵士たちは半信半疑だ。
「冒険者って言っても……」
「相手はザビエル軍だぞ?」
アレンが首をかしげる。
「え?」
「軍の人って、こんな弱そうだったっけ?」
セリオも正直に言う。
「魔力の流れ、一般人レベルだな」
兵士たち、ちょっと傷つく。
――その直後。
敵軍、突撃。
「来るぞおおお!!」
なぎ、ため息。
「……じゃあ、軽くね」
次の瞬間。
ズバァン!!!
なぎが剣を振る。
ただの横薙ぎ。
敵前列、まとめて吹き飛ぶ。
「「「え?」」」
アレンも前に出る。
地面を蹴る。
ドン!!!
跳躍だけで敵陣に着地、
着地の衝撃で数人が転ぶ。
「ちょ、待て!!」
「冒険者ってこんな動きするのか!?」
セリオは詠唱すらしない。
「はい、止まって」
指を鳴らす。
パキン。
敵の武器が一斉に砕けた。
沈黙。
女王軍兵士たち、口が開いたまま。
「……俺たち」
「なぎPTより弱くね?」
サクラが満面の笑みで叫ぶ。
「そうです!!!」
「だから皆さんは守られる側!!!」
「安心して士気だけ上げてください!!!」
「説明が雑すぎる!!」
なぎは敵が逃げていくのを見て首をかしげる。
「あれ?」
「もう終わり?」
アレン「終わりだな」
セリオ「むしろ、拍子抜け」
兵士の一人が震える声で言った。
「……あの」
「俺たち、今まで命懸けで戦ってたんですが」
なぎは少し困った顔をした。
「ごめん」
「基準が冒険者だった」
サクラがすかさず締めに入る。
「聞きましたか皆さん!」
「これがサクラ教の加護!!」
「だから宗教にするな!!!」
こうして前線では、
「なぎPTが出た戦場は安全」
という、
わけのわからない常識が生まれ始めるのだった。




