法王の失敗
【東部・ザビエル軍 本営】
厳かな空気の中、
十字架が掲げられた会議室。
ザビエル:
「……敵の士気が異常だと聞く」
司教:
「はい、陛下」
参謀:
「兵力・布陣ともに優位。
それでも敗北が続いております」
ザビエル:
「理由は?」
参謀:
「……宗教です」
(静寂)
司教:
「異端ですな」
ザビエル:
「異端?」
参謀:
「敵軍には“サクラ教”なるものが蔓延しております」
司教:
「聞いたこともない」
参謀:
「神は女の子」
「本人は何もしていない」
「信じなくていい、とのことです」
司教:
「……冒涜だ」
ザビエル:
「笑い話にもならぬ」
参謀:
「しかし」
「兵の士気は、事実として上昇しています」
ザビエル:
「ならば――」
(ザビエル、立ち上がる)
ザビエル:
「正統なる信仰を、改めて示そう」
司教:
「おお……!」
――――――――――
【信仰強化令・布告】
司教:
「神を信じよ」
「疑うな」
「祈りを欠かすな」
兵士A:
「……はい」
司教:
「毎朝夕、祈祷を行う」
「戦場でも賛美歌を歌え」
兵士B:
「戦場でも……?」
司教:
「神は常に見ておられる」
兵士C:
「……重いな」
――――――――――
【数日後・前線】
兵士A:
「祈りの時間、長くないか?」
兵士B:
「準備が遅れる」
兵士C:
「失敗したら神に見放されるって……」
(遠くで敵軍の声)
敵兵:
「信じなくていいぞー!」
「適当にいこうぜー!」
兵士A:
「……楽しそうだな」
――――――――――
【戦闘】
参謀:
「報告です!」
「我が軍、動きが硬い!」
司教:
「信仰が足りぬのだ!」
参謀:
「逆です!」
「“失敗できない”空気で委縮しています!」
(敗北)
――――――――――
【本営・再会議】
ザビエル:
「……なぜだ」
参謀:
「分析しました」
(資料)
参謀:
「敵宗教の特徴は」
「・信じなくていい」
「・神が何もしない」
「・教祖が雑用している」
司教:
「異常だ」
参謀:
「はい」
「しかし兵は“気が楽”になっています」
ザビエル:
「我らは?」
参謀:
「・信じねばならない」
「・正しさを求められる」
「・失敗が罪になる」
沈黙。
司教:
「……正統であるがゆえに、重い」
ザビエル:
「信仰が、兵を縛ったか」
参謀:
「皮肉ですが」
(低く)
参謀:
「“救われなくてもいい宗教”に」
「我々は負けています」
――――――――――
その頃、敵陣。
サクラ:
「信じなくていいからねー!」
「気楽にいこー!」
兵士:
「はい!!」
ナギ:
「……なんで向こう、あんな真面目なの?」
アレン:
「正しいからだろ」
セリオ:
「正しいけど、重い」
サクラ:
「よし!」
「次は“無理しない信仰”を広めるわよ!」
ナギ:
「やめてぇ!!」




