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腐女子ゴブリン食べて成長する
鍋の中身を飲み干すと、体の奥がじんわり熱くなった。
「……あれ?」
胸の奥が、きゅっと締まるような感覚。
さっきまで震えていた足が、不思議と安定している。
――ステータスが更新されました。
(え)
頭の中に、あの聞き慣れた声が響く。
耐性:小 上昇
胃袋:微 上昇
「……胃袋?」
思わず声に出した。
「はい。魔力を含む肉を消化できるかどうかは重要です」
シスターは当然のことのように頷く。
「弱い冒険者ほど、
“強い敵に勝つ”より先に
“食べられるかどうか”で詰みます」
「戦う前に胃が死ぬってことですか……」
「はい」
即答だった。
「特にゴブリン肉は、
初期段階では身体を壊しにくい魔力食材です」
私は自分の腹をさすった。
確かに、気持ち悪さはない。むしろ力が湧く。
「……強くなるって、こういうことなんだ」
剣を振るより前に、
“生き残る体”を作る。
店長の言葉が、今になって腑に落ちた




