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それぞれの夜

その夜は、

いつもの赤竜亭の配置に落ち着いた。


私は、ルミエルと一緒。

アレンは、セリオと一緒。


何も言わなくても、

自然と、そうなった。


部屋に入ると、

ルミエルはほっとしたように息をつき、外套を外す。


「……今日は、怖かったですね」


小さな声。

強がりきれなかった本音。


私はベッドに腰を下ろし、

軽く手を叩いた。


「おいで」


一瞬だけ、迷う素振り。

それから、ルミエルは静かに隣に座った。


近い。


肩が触れ、

体温が伝わる。


「前は……」

「こういう時、祈るしかなかったんです」


そう言って、彼女は俯く。


私は何も言わず、

そっと、彼女の手を取った。


細くて、冷たい指。


でも、

握り返してくる力は、確かだった。


「今は、違うでしょ」


そう言うと、

ルミエルは、少しだけ驚いた顔をして――

それから、柔らかく笑った。


「……はい」


灯りを落とす。


暗闇の中、

彼女は、ためらうように距離を詰めてくる。


背中に、

小さな重み。


「……一緒だと」

「眠れます」


囁くような声。


私は、応える代わりに、

彼女の髪を、ゆっくり撫でた。


柔らかい。

祈りの香りが、微かにする。


向こうの部屋から、

アレンとセリオの笑い声が聞こえた。


――いつもどおり。


でも、

この部屋だけは、少し違う。


ルミエルの呼吸が、

だんだんと整っていく。


そのぬくもりを感じながら、

私は、目を閉じた。


戦いの夜の終わりは、

剣でも、魔法でもなく――


こうして、

誰かと並んで眠ることだった。

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