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店長ピンチに現る

アレンとわたしが前に出て、壁になる。

背中越しに、シスターの短い詠唱が途切れなく続いているのがわかった。


「下がって!」


叫んだ声は、金属音と咆哮にかき消される。

衝撃が腕を通して骨にまで響き、足元の石畳がきしんだ。


――重い。

――強い。


アレンの肩がわずかに揺れる。

それでも、彼は一歩も引かない。


「回復はまだか!」


「あと少し……っ!」


シスターの声は震えていた。

魔力の光が彼女の指先で明滅し、今にも消えそうになる。


腕が軋む。

視界が滲む。

呼吸をするたび、胸が焼けるように痛む。


――もう、限界。


そう思った、その時だった。


《眩い光》が、空間を切り裂いた。

白金の輝きが戦場を覆い、轟音とともに魔物の動きが一斉に止まる。


風が止み、

音が消え、

時間だけが引き延ばされたような静寂。


光の中心から、

ゆっくりと、影が歩み出てくる。


長い外套。

見慣れた背中。

場違いなくらい、落ち着いた足取り。


……え?


「店長?」


思わず、声が漏れた。


「なにしてんの? ここで」


店長は軽く手を振り、困ったように笑った。


「いやあ、仕入れの帰りなんだけどさ」

「店の前で大騒ぎしてるから、気になって」


――仕入れ?


アレンが目を見開く。

シスターは呆然と口を開けたまま、詠唱を止めていた。



次の瞬間、

彼の足元から、先ほどとは比べものにならない光が溢れ出した。

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