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最後の望み

光が弾け、

セリオは地面に転がり出た。


石畳。

見慣れた天井。


――冒険者ギルド。


「っ……は、ぁ……」


血を吐きながら、

それでも立ち上がる。


受付カウンターまでの距離が、

異様に遠い。


「……たの、む……」

「最下層……仲間が……」


受付嬢は一瞬、目を見開き、

すぐに奥へ視線を走らせた。


端末。

掲示板。

待機名簿。


数秒後――

静かに、首を振る。


「……残念ですが」


声は事務的だった。


「現在、空いている冒険者の中に」

「最下層で戦える方はいません」


セリオの膝が、

崩れ落ちる。


「……そんな……」


受付嬢は、少しだけ言い淀み、

それから続けた。


「ただし……」

「倒せる可能性がある方が一人だけ、います」


セリオが、

必死に顔を上げる。


「もう……引退されていますが」


受付嬢は、

はっきりと言った。


「貴方達が泊まっている宿――」


「赤竜亭の、バルドさんです」


空気が、

一瞬で変わった。


セリオの脳裏に浮かぶ。


酒。

無精ひげ。


「……あの、おっさん……?」


受付嬢は頷いた。


「元・最上位冒険者」

「対ドラゴン討伐数、三」


「今はもう……」

「剣を取らないと聞いています」


セリオは、

笑ったのか、泣いたのか分からない表情で、

床に手をついた。


「……頼むしか……ない……」


最下層では今も、

仲間が――

死と向き合っている。

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