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大ピンチ

ルミエルも、限界だった。


床に伏したまま、

呼吸が浅い。


白い法衣は裂け、

血が静かに広がっていく。


「……ル、ミエル……」

ナギの声は、ほとんど音にならない。


最下層ボスが、

ゆっくりと近づく。


一歩。

また一歩。


『聖なる者よ』

『なぜ、まだ生きている』


巨大な影が覆いかぶさる。


拳が、振り上げられた。


――終わる。


その瞬間。


ルミエルの胸元で、

かすかに光が灯った。


だが、強くない。

暴走するほどの力もない。


「……バーサク……」


声は、震えていた。


【スキル発動失敗】

《バーサーク(聖)》不完全発動


力は湧かない。

身体は、動かない。


それでも――


ルミエルは、

モーニングスターを離さなかった。


最下層ボスの拳が、

彼女の腹部に突き刺さる。


ドンッ。


鈍い音。


ルミエルの体が折れ、

床に叩きつけられる。


「……っ……」


声も、もう出ない。


ナギは、

視界が滲む中で思った。


(シスターも……死ぬ……?)


最下層ボスは、

動かなくなったルミエルを見下ろし、

冷たく言い放つ。


『価値はない』


その背を向けた瞬間。


――カチ。


鎖が、

一本、外れる音。


ルミエルの指が、

ほんの少しだけ、動いた。


まだ、

生きている。


だが、

次は――本当に、最後だった。

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