二人のお母さん
本当は写真だけで済まそうかなって思っていたのに……
こんなに大掛かりになってしまった。
「我が社の屋台骨を背負っている佐々木次長の結婚式だ! 『社葬』があるんなら社を挙げての結婚式!『社挙式』もありだろ!」
こんな悪ノリで社長以下、社員一丸となってのおみこしに私と谷合課長は乗っかる事となった。
題して!
『おめでとう!!佐々木次長&谷合副部長(予定)!! で、どっちが偉いの? お家じゃ佐々木次長だよね(笑)』
「何? この長~い垂れ幕!」
プライズルームにまで提げられた垂れ幕は“こひまりちゃん”に大ウケだ。
「で、次長と副部長ってどっちが偉いの?」
この“こひまりちゃん”の素直な質問に私は苦笑いする。
「諸説あるからねえ~『副部長』はウチの会社では初めて作った役職だから……まさしく垂れ幕通りのノリ! でもね!誠二くん……お父さんが次の部長だよ」
「へえ~! あのヘタレお父さんが? 会社大丈夫? こりゃ、お母さん!いつまで経っても会社辞められないね! あ、ごめん! 大姉ちゃん!フライングしちゃった!」
「えっ~!!もう、お母さんって呼んでよぉ~! あと、お父さんね、会社じゃ頼もしいんだから! だって私が惚れるんだよ!」
「えっ?! どうしよ!家でもちゃんとしてもらわなきゃ!! お母さんから愛想尽かされたらた大変だもん!!」
「アハハハハ 大丈夫だよ!」
こひまりちゃんは満面の笑みで……椅子に座った私に寄り添ってくれる。
「こんな綺麗なお母さん!自慢だなあ!! ねっ!写真撮ってL●NEしていい?」
「えー?! だったらもっと胸をかさ上げするんだった!」
こんな冗談でケラケラ笑った後、こひまりちゃんがしみじみと言った。
「私とお母さん! もうすぐ同性同名!私は谷合陽葵ジュニア?二世?」
「ふふふ、私は会社じゃ“佐々木”のままだけどね」
私が笑顔で言葉を返すとこひまりちゃんは急に真顔になった。
「あのね、ママが言ってたの……『私には二人お母さんが居るんだよ』って!
ちょうど私が……『おしべとめしべのたとえ話』を学校で聞いた頃だったから……
話してくれたんだと思う。
ママはお腹に出来た私を産むかどうか一瞬迷ったんだって!
お父さんとは結婚の約束すらしていなかったし……
その時、お父さんとママの両方が尊敬しているとっても素敵な女性に背中を押してもらって……
結婚もできたし、私も産めた。
そして、二人の心からの感謝を添えて……大切なその人の名前を貰い
私を『陽葵』って名付けたって!
だから……私と同じ名前のその人も……私のお母さんなんだよって!
いつかは陽葵に会いに来てくれる日が来るだろうから、その時はちゃんとお礼を言いなさい!って
だけど初めて会いに来てくれたのが……
ママが亡くなってしまった時だったから……
結局、こんなに後になってしまったけど……
お母さん! 私を産んでくれて、本当に本当にありがとう!!」
私は……私は……その言葉に涙がどっと溢れて……
こひまりちゃんは腕まくりした素敵なメイクさんを連れて来てくれた。
幸せは
まだまだこれから
というわけでハッピーはこれからも続いて行くのです!!(#^.^#)
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