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総当たり作戦


ほくは電車で隣の市まで出ると、駅前のみずほ銀行に向かった。

ATMの前に立ち、義父の財布からクレジットカードを取り出して、投入口に吸い込ませる。


ぼくはこのタイミングで両手両足を揃えると、思い切り真上にジャンプした。


隣のATMを使っていたサラリーマンが、びくりとする。かなり恥ずかしい。


出入り口の自動ドアの前に立つ警備員が、いぶかしげにこちらを見ている。

が、別に声をかけようとはしない。


オッケー。


ぼくはATMの操作画面に向き直ると、引き出しボタンを押した。

続けて四桁の暗証番号を求められる。


1、1、1、1と入力する。


「番号が誤っています」と、表示された。


入力画面に戻る。


今度は、1、1、1、2と入力した。


もう一度、誤入力表示が出る。


三回目、ぼくは末尾を3に変えた。


またしても誤入力。


画面に警告表示が出る。これ以上間違えると一定期間カードが使えなくなる。


オーケー。


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎


ぼくはさきほどジャンプし終わった直後に戻った。


目の前には、まだ一度も入力されていない画面がある。


ぼくは末尾、4、5、6を試して、また時を戻った。


総当たりだ。


正しい番号が1499だったのは幸いだった。

もし、先頭の数字が9だったなら、どこかで仮眠が必要だったろう。


義父の口座には七十五万円が入っていた。


ぼくは躊躇なく全額引き出した。


義父がこの口座のことで警察に駆け込まないことはわかっていたからだ。脛に傷を持つ人間が、助けを求められるはずがない。


備え付けの封筒に全額を突っ込んで銀行を出ると、駅前ロータリーに聳えるドンキに入った。


千五百円のショルダーバッグを買い、金と義父の財布を放り込んだ。


さて、これからどうしようか。


当面、金の心配はない。

夏休みが終わるまでは十分に持つだろう。


そこで気づいた。


もう学校には行けない。


義父が張っていないはずがない。


相手は反社会勢力の一員なのだ。面子にかけて、ぼくを捕らえようとするはずだ。今頃、捜索のために知り合いを総動員しているだろう。


そっと周囲を見回した。

大丈夫。それらしい相手はいない。

見つかる前に早く逃げなくては。


ぼくは、ロータリーにいたタクシーを捕まえると、県庁所在地の駅名を告げた。

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