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転生してレストランで働いてる  作者: なみきふみ
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「ドウリョウ君は今度の連休どっか行くんですか?」

「いや、別に。」

相変わらずそっけなくていらっしゃる。いいんですよ~。あえて冷たくしてるのではない。それがあなたの素で、誰にでもそういうすげない対応だということを存じておりますから~。


いつだったかドウリョウ君がホールとして働いた場面を見たことがあるのですが、お客様に対しても同じ対応してて驚愕した記憶は忘れられませんね!


でも、頼み事は断れないし、同僚の誕生日には本人が忘れてても「オメデトウ」と言ってくれる、本当は優しい心の持ち主なんですよねー。


なのでたぶん、「いや、特にないかな、君はどうなんだい??」って言うところを、緊張してテンパった結果、「いや、別に」とまで、省略して答えちゃったんだよね??むしろ、不器用なところがカワイイ~~!!


なんて妄想はここまで。優しいけど緊張しい彼から返事をもらえただけありがたいなんて思いながら、特に気にせず軽く受け流します。


「そうなんですね。ちなみにワタシはルキルキ公園にでも行こうかなーって思ってまして。」

「へえ。」

「ワタシ、遠出するほど外出は好きじゃなくて、どっちかっていうと休みの日は家に引きこもる派なんですよー。でも、せっかくの連休ですし、遠出までいかなくてもどっかには出掛けたいなーとは思ったんですよねー。で、近場でも近場過ぎるといえる、自宅から徒歩5分のルキルキ公園を選んだわけですよー。」

「徒歩5分は近いね。」

「ですよね!でもー、季節ごとの花が咲き誇るし、緑は多くて敷地もわりと広いんで小動物も住んでたりするんですよねー。自然が好きなワタシとしては自宅以外でリラックスできる絶好の外出先といえるんですよー。」

「そうなんだ…」

ドウリョウ君はそういいながら、ロッカーから自分の鞄を取り出す。


今は夜の10時を過ぎた頃。賄いを食べ終わって帰る支度をしてるときの会話がこれ。


ワタシとドウリョウ君は『レストランロウソク』の調理係を担当している。大抵は店を閉めたあと、賄いを食べて軽くおしゃべりしながらそのまま一緒に帰る。


ほぼワタシが一方的に話して、ドウリョウ君は相づちを打つだけだけど、働いて疲れた体と精神にほのぼのしたこの感じが、なんか癒されるというか、ワタシは気に入っている。


なんて考えてる間に、私たちはコートを羽織り鞄をもち、帰る支度が整った。よし、帰りましょう。


店に出るとあたりはすっかり真っ暗で静寂に包まれている。空を見上げると雲一つない暗闇で金色に輝く月が見える。ただ、この世界の月は満ち欠けがなくて常に満月なんだよなー。



この世界?そうです。ワタシはこの世界ではない別の世界で生きていた記憶がある。地球という星の島国「日本」で、22歳まで大学生として生きた記憶が。いわゆる前世の記憶というやつです。


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