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愛してる 〜必ず戻る、必ず守る〜  作者: 凪 景子
第3章
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12話

 加波子は新宿に来ていた。入ったことのないデパート。目当ての店はそのデパートの一角。高級感溢れる店内は茶色で統一されていた。


 目当てのものはネックレス。亮の誕生日プレゼントだ。ネックレス、それしか思い浮かばなかった。


 亮らしいもの、ふたりらしいもの。そしてそれを加波子は事前に探した。欲しいデザインは決まっていた。それを探し、店内を歩く加波子。


「あった…。」


 店員が加波子に声をかける。


「何かお出ししましょうか?」

「はい、これを…。」


 加波子の欲しいデザインのネックレスは、トップの大きさが二種類あった。加波子は悩み、男性店員に試着してもらったり、店員と話し合ったり。結果、大きいほうを選んだ。箱に入れ、紙袋に入れ、リボンを結んでくれた。箱も袋もリボンも茶色。とても上品だった。


 亮が喜んでくれるかどうか不安だったが、受け取ってさえくれたらそれでいい。加波子はそう思っていた。


 翌日。出社するなり早々。


「今日、古都。付き合って。」


 友江に何か動きがあったのだと、加波子はすぐにわかった。終業、古都。友江はレモンサワーと枝豆。加波子はコーラと塩キャベツ。加波子からではなく、友江はすぐに話し出した。


「今度、また野田さんと会ってくる。」

「え?」

「あれから、私から連絡したの。なんとなく。次は浅草行きましょうって。地元だから案内しますって。」

「え…なんかいい雰囲気…。」

「やっぱりどきどきもときめきもないけど、楽しみだな、とは思う。どう思う?」

「え?私ですか?」

「あんた以外に誰がいるのよ。」

「んー…。」


 加波子は右手にレモンサワー、左手にコーラ、それぞれのジョッキを持って言う。


「先輩が何を求めてるのか、じゃないですか?先輩、前も言ってたじゃないですか、ときめき、も、安心、も。天秤にかけるというよりは、先輩はどっちが欲しいのか。あるいは他の何かが欲しいのか…。」

「求めているものねぇ…考えたこともなかったわ。貸して。」


 加波子はジョッキを友江に返す。友江はレモンサワーを飲む。


「先輩はもうそういう段階に来てるってことですよ。」


 加波子はコーラを飲む。


「あんた賢いわね。」

「一度だけ言われたことあります。そんなことより野田さんと会うこと、楽しみだなって思うんですよね?」

「うーん、なんとなくねー。彼の前だと、気取らなくていいのよ、飾らなくていい。浅草なんて人が多くて賑わう場所でしょ?そんな場所で気取ってなんかいたら疲れるだけじゃない。でも彼ならそれもなく、楽しめるんじゃないかなーって。」

「野田さんだと一緒にいて楽しめる。そう思えることって、すごいことじゃないですか?そういうの、私は大事だと思います。」

「そうかしら?」

「そうですよ。そう簡単に思えることじゃないです。それに私が先輩を知る限り、そんな男性、初めてじゃないですか?」

「そういえば確かに…。で、どうしてあんたが知ってるの?」

「どれだけ先輩と一緒にいると思ってるんですか!」


 暑くもなく寒くもない日々が続く。その日はとてもいい天気だった。


 加波子は亮を部屋に呼ぶ。先日買った亮への誕生日プレゼントを渡すためだ。亮は少し笑みを浮かべながら、そして素直に受け取ってくれた。


「ありがとう。」


 加波子は安心する。加波子にも笑みが。


「開けてみて。」


 きれいなラッピングをゆっくりほどく亮。箱を開けた亮の目が変わる。まるで宝箱を開け、きれいな宝石を見たような目。


 シルバーのネックレス。トップはコインのように丸い。時計のような文字盤、中央には太陽のような柄。


「これね、太陽と希望がモチーフなんだって。私は月と星、亮は太陽。なんかよくない?…ねぇ亮、聞いてる?」


 ずっと見惚れている亮を、加波子は微笑ましく見ていた。贈ってよかったと。


「お前…、こっち来い。」


 どうしたのかと少し不安になりながら近づく加波子。亮は加波子を抱きしめる。何も言わずきつく抱きしめた。


 加波子は気づく。亮が泣いていることに。それはそれは静かに。ほんの少しだけ震え、ほんの少しだけ声が漏れる。


 加波子は驚かなかった。ただ嬉しくて、ただ愛おしくて。


 加波子も亮をきつく抱きしめる。そして改めて加波子は言う。涙目の加波子。

 

「亮、お誕生日おめでとう。」


 亮の胸に太陽が輝き始めた日。



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