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神殺しの魔物達  作者: 噺 遊月
夢魔【壱】
13/18

夢の世界

 この細い土の道だけの場所をただ歩いていた僕は、突然現れたリームという男についていくことにした。とりあえず、屋敷に行けば落ち着けると思ったから。

 そして、僕は歩く道中、この真っ暗な場所について、前を歩くリームに尋ねた。

「ここは何処ですか」

「ここ?…夢の世界って便宜上読んでる。もっと正確に言うと夢の狭間かな」

 と、彼はわけのわからない答えを、普通に答えた。

「ここは夢の中なんですか?というか、夢っていうのは人が記憶を忘れるときに見るものでしょう?」

「まあ本当に夢の中なのかと言われると、ちょっと違うかもしれない」

 ちょっと違うとはどういうことなのか疑問に思っていると、リームは説明を付け加えた。

「この世界は、色々な別の世界の記憶や願いとか、そういうものが色々流れ込んでくるんだ。で、流れ込んできた物が集まって領域…一つの世界を作る。その中が君たちの言う夢に近いと思うよ」

 自分が理解に苦しんでいると、リームが立ち止まって右側を指さした。

 リームが指した先は、道が分岐していて、分岐した道の先には一つの扉があった。

「あれが一つの領域への入り口。形はまちまちだけど、あんなふうに扉とか門とか橋とか長い通路とか、空間を区切る物の形になってる。領域の中はその世界ごとに法則が異なってるから、安易に入らないようにね。あと、たまに領域内の物が溢れてくることもあるけど、近づかないようにね」

 そこまで言うと、リームは再び歩き出した。僕もそれについていく。

「…溢れてくる物って、具体的には何があるんですか」

「ん…まあ領域によってはまちまちだねぇ。本とか人形とか、その世界に沢山ある物が許容量を超えて出てきたりするのが一番多いかな。さっき見た骸骨の狼…あいつは悪夢から出てきたんだけど、自分の意思で出てくるのは珍しいかな」

「つまり…さっきの骸骨の狼は、悪夢の怪物なんですね」

「そうだね。悪夢の怪物は自然発生するし、野生動物みたいなもんだから。駆除しようなんて考えないでね」

「…じゃあ、なんであの狼にエサをあげてたんですか?」

「ああ、君を探してたんだよ。あいつは物や人を探すのに長けてるからね」

 つまり、警察が犬を人探しに使うのと同じような物か。

「あと、君も領域から出てきた物なんだよ」

「……え…」

 リームが信じられないことを、普通に言った。僕が夢の中から出てきた物?どういうことだ?

「…その様子だと、大丈夫じゃなさそうだね。…名前と年齢言える?」

 僕は言われるがまま自身の名前を思い出そうとした。しかしいつまでたっても思い出せず、頭を抱えるばかりだ。

「ほら、これ。ここに君のこと書いてあるから」

 と、リームは見覚えのある人物が写った写真を渡してきた。その人物は短髪の黒髪で、赤のブレザーと緑のネクタイの高校制服を着ていた。いかにも優等生というか感じの青年だった。

「裏も見て」

 僕は言われるままに写真の裏を見た。そこには次のことが箇条書きにされていた。

高野(こうの) 藍人(あいと)

・17歳

・高校生 生徒会役員庶務

・お茶が好き(特に緑茶)

・ゴキブリが嫌い

 僕はこれを見て、思い出した。そうだこの写真の人物は、この名前の人は…

「これは僕だ!」

 僕はそう叫んだ。

 そして気がつくと、自分の格好が写真の制服と同じになっていた。これは自分の学校で指定されている制服だ。靴も通学用の指定されている革靴になっている。

 いや、そもそもさっきまでどんな服を着ていた?それを思い出そうとしても、思い出せない。さっきまで着ていた筈なのに。

「あんまり難しく考えないほうがいいよ。夢を思い出せないのってよくあることでしょ?」

 僕はリームさんの言葉に納得して、とりあえず思い出そうとするのをやめた。

「じゃあ、行こうか」

 リームさんがそう言って、いつの間にか立ち止まっていたのを、また歩き始めた。

 僕も歩き出そうと顔を上げると、いつの間にか空に星が沢山浮かんでいた。道も沢山分岐が生まれていて、先が見えない物や道の終わりに様々な扉のある等様々だった。

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