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竜王さまの死に場所探し  作者: 桐野周
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昔々のお話です

 あるところに、竜の王国がありました。


 とても平和な国ですが、王さまには一つ心配事がありました。

 王さまの御子、つまり王子さまがしばらく前から旅に出ていて、まだ帰ってきていないのです。

 竜の王国はともかく、よその国々では不穏な気配もあるそうです。

 王妃さまは言いました。

 

 「大丈夫ですよ。あの子はきっと無事に帰ってきます」


 お二人は、いえ、国中の人は王子さまのお帰りを待ち続けました。


 

 あれから何年か経ちました。

 竜の王国にも飛び火した戦火も落ち着いた頃のうれしいお知らせです。

 王子さまのご帰還です。

 なんと、とても美しいお嫁さんも一緒です。

 

 国中の人々は歓迎し、やがて旅に出て見聞を広めた王子さまは王位を継ぎ王さまに、お嫁さんは王妃さまになりました。

 

 それから長いこと、戦のない泰平の世が続きました。

 王さまは立派に国を治め、お子さまにも恵まれました。

 とても幸せです。


 ですがある時、王妃さまが先立たれてしまいました。

 

 王さまはとても悲しみました。

 悲しんで悲しんで、お食事ものどを通りません。

 

 心配したお子さまの一人である王子さまが、王さまにある料理をお出ししました。

 それは王さまと王妃さまの大好物です。

 王さまは泣きながら食べました。

 思い出の味がします。やさしい味がします。そばに王妃さまがいる気がします。


 食べ終わってから考えました。

 自分も老齢です。

 子供たちも立派に育ちました。

 王位を譲って王妃さまとの思い出の場所を巡るのもいいかもしれません。

 いつどこでお迎えが来ても、そこには王妃さまの面影があるのですから。


 そうと決まったら準備にとりかかります。

 一番上の王子さまに王位を譲りました。政も大丈夫です。

 王子さまもお姫さまも快く送り出してくれました。

 

 さあ、今一度旅にでましょう。




 これはある愛妻家の竜王さまが世界を旅するお話です。

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