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春の渚  作者: 角谷 刮
8/14

(8)不安

これで、8話目です。

まさかここまで続くとは(笑)

では、春の渚8話宜しくお願いします。

三人は無言で、顔を俯かせてそれぞれの家へと帰って行く。

周りから見ると挨拶する事も躊躇うくらいである。

どう見ても高校生の遊んでいる様相ではない。

一星達は、十字路で別れた。

一星は、自分の家の鍵を開け階段を上り、自分の部屋はと直行した。

ドアを閉め、後ろへと体を回転させた。

その場で、膝と肘を床につけて大きい声で泣きじゃくった。


「僕はいつも、翔に背中を押してもらって前に進めた。

これからもずっとずっと翔と一緒に居たかった。

なのに。

翔!なんで、君がこんな目に遭わきゃいけない。

あんなに翔は良い奴だったのに!

死ぬ必要なんてないじゃないか。

僕はこれからどうすればいいんだ。」


一星は、心の中で翔との思い出を思い出した。

一星と翔と未桜。

この三人で、毎日のように休みの日は過ごした。

喧嘩もしたが、その後、すぐに仲良くなった。

そんな、翔の死である。

一星が、現実を直視出来ないのも無理はない。

ダラダラ垂らした鼻水と涙で、一星の顔はぐしゃぐしゃになった。


「どんなに服で涙を拭っても止まらない。

進む事も今は出来ない。

他の事なんて何も考えたくない。

僕はもう駄目かもしれない。」


一星は、完全にネガティブな考えになってしまい、光と云うものが必要だった。

いや、もしかしたら、近くに在るのかもしれない。

それに気づけていないだけなのだろう。

一星は、混乱しているので、考える余裕すらなかった。

ただ、我武者羅がむしゃらに泣いた。

 気づけば、一星は寝ていた。

朝の光が窓から、漏れ入っていた。


「もう、朝か...」

 

 一星は、眠い目を擦って1階にある、お風呂場へと足を運んだ。

脱衣所で、Tシャツから脱いでいく。

全部洗濯機に服を入れて、シャワーを浴びた。


「昨日僕は、ずっと泣いていたんだっけ。」

 

流石に次の日になると、少しは落ち着きを取り戻していた。

しかし、光はまだ、見えていなかった。

お風呂場の扉を少しだけ開けると、右手だけを出して洗濯機の横にある、棚からタオルを取り出すと、風呂場から出ると寒いので、お風呂場で体を拭く。

体を拭き終わると、タイミングよく

 

「一星ご飯出来たから、起きなさーい!」

 

大きい声で、母親は一星の部屋の方向に向かって叫ぶ。

 

「お母さん。

僕は、こっちだよ。」

 

一星は、少々呆れ気味で言った。

一星は、リビングに着くと、椅子に座ってテーブルの上に置いてある、ハムエッグに苺ジャムが塗ってあるトーストパンに飲み物は、牛乳。

一星は、テレビを見ながらゆっくりと食べていた。

いつ見ても、北の国の話ばかり。

時計を見ると、未桜と咲希が来る時間である。

一星は、一気にトーストパンを口に詰め込こみ、スクールバッグを持つと、玄関に行き靴を履いて、扉を開けた。

予想通り、未桜と咲希が家の前で横に並びお喋りをしながら、待っていた。


「一星!早くー!」


未桜も咲希も元気を取り戻したようだ。

一星は、自転車の鍵を外して乗り込み、先たちの所まで向かった。

やっぱり、翔のいないメンバーには、違和感を感じた。

三人は、いつものように学校に向かって行った。

見て頂き有難う御座います。

良ければ、感想なども書いて頂けると助かります。

今後も宜しくお願いします!


9話記載日:日曜日

18:00分

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