(8)不安
これで、8話目です。
まさかここまで続くとは(笑)
では、春の渚8話宜しくお願いします。
三人は無言で、顔を俯かせてそれぞれの家へと帰って行く。
周りから見ると挨拶する事も躊躇うくらいである。
どう見ても高校生の遊んでいる様相ではない。
一星達は、十字路で別れた。
一星は、自分の家の鍵を開け階段を上り、自分の部屋はと直行した。
ドアを閉め、後ろへと体を回転させた。
その場で、膝と肘を床につけて大きい声で泣きじゃくった。
「僕はいつも、翔に背中を押してもらって前に進めた。
これからもずっとずっと翔と一緒に居たかった。
なのに。
翔!なんで、君がこんな目に遭わきゃいけない。
あんなに翔は良い奴だったのに!
死ぬ必要なんてないじゃないか。
僕はこれからどうすればいいんだ。」
一星は、心の中で翔との思い出を思い出した。
一星と翔と未桜。
この三人で、毎日のように休みの日は過ごした。
喧嘩もしたが、その後、すぐに仲良くなった。
そんな、翔の死である。
一星が、現実を直視出来ないのも無理はない。
ダラダラ垂らした鼻水と涙で、一星の顔はぐしゃぐしゃになった。
「どんなに服で涙を拭っても止まらない。
進む事も今は出来ない。
他の事なんて何も考えたくない。
僕はもう駄目かもしれない。」
一星は、完全にネガティブな考えになってしまい、光と云うものが必要だった。
いや、もしかしたら、近くに在るのかもしれない。
それに気づけていないだけなのだろう。
一星は、混乱しているので、考える余裕すらなかった。
ただ、我武者羅に泣いた。
気づけば、一星は寝ていた。
朝の光が窓から、漏れ入っていた。
「もう、朝か...」
一星は、眠い目を擦って1階にある、お風呂場へと足を運んだ。
脱衣所で、Tシャツから脱いでいく。
全部洗濯機に服を入れて、シャワーを浴びた。
「昨日僕は、ずっと泣いていたんだっけ。」
流石に次の日になると、少しは落ち着きを取り戻していた。
しかし、光はまだ、見えていなかった。
お風呂場の扉を少しだけ開けると、右手だけを出して洗濯機の横にある、棚からタオルを取り出すと、風呂場から出ると寒いので、お風呂場で体を拭く。
体を拭き終わると、タイミングよく
「一星ご飯出来たから、起きなさーい!」
大きい声で、母親は一星の部屋の方向に向かって叫ぶ。
「お母さん。
僕は、こっちだよ。」
一星は、少々呆れ気味で言った。
一星は、リビングに着くと、椅子に座ってテーブルの上に置いてある、ハムエッグに苺ジャムが塗ってあるトーストパンに飲み物は、牛乳。
一星は、テレビを見ながらゆっくりと食べていた。
いつ見ても、北の国の話ばかり。
時計を見ると、未桜と咲希が来る時間である。
一星は、一気にトーストパンを口に詰め込こみ、スクールバッグを持つと、玄関に行き靴を履いて、扉を開けた。
予想通り、未桜と咲希が家の前で横に並びお喋りをしながら、待っていた。
「一星!早くー!」
未桜も咲希も元気を取り戻したようだ。
一星は、自転車の鍵を外して乗り込み、先たちの所まで向かった。
やっぱり、翔のいないメンバーには、違和感を感じた。
三人は、いつものように学校に向かって行った。
見て頂き有難う御座います。
良ければ、感想なども書いて頂けると助かります。
今後も宜しくお願いします!
9話記載日:日曜日
18:00分




