もしかして:夏
壊れゆく春
私達の長袖と共に切り裂かれてゆく。抗う七分袖もやがて虫の息となるだろう。
移りゆく春
激しい吐息が優しい爆風に変わった。運悪く爆発に巻き込まれた桜は、緑色になっていた。
忘れゆく春
春流した涙は段々と蒸発していった。あれ、誰に涙を流したんだっけ?
夏は近く、春は遠くに。木々の下で準備体操をしている蝉達が「試してみろ」と煩いから、仕方なくパソコンで「春」と検索すると、出てきたのは「夏」の情報ばかり。ただ検索スペースの真下に、申し訳程度の大きさで一言の文字。
もしかして:夏