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記憶の空白
その夜、幻とダブルベッドでいつものように寝たのだが、
飛はゲームで興奮してなかなか寝付けなかった。幻も同じだった。
白黒の悪夢。人生の再演。記憶の空白。
飛は脳をフル回転させ、あの白黒の悪夢を反芻した。
確か、自分はエイリアンになっていた夢だったよな。
続いて飛は高校生として人生をスタートするきっかけとなった、
あの生死を繰り返したような過激な衝撃を思い出した。
さらに、飛は高校生よりも前の記憶が皆無であることを顧みた。
この三つの断片的事実が繋がっているとしたら――。
人間の記憶力はシナプスがどれだけ繋がっているか、それで決まる。
飛の脳内は全てのシナプスがメモリーチップに繋がっていた。
真っ黒に焦げてショートしていたメモリーチップが光り出す。
記憶の再生であった。
飛は失っていた記憶を急に取り戻した。
脳が覚醒したように目が冴えてしまい、飛は開眼したまま起き上がった。
幻が就寝しているのを一瞥すると、映画を観るかのように脳内の映像に見入った。