ヴァルキュリア
改稿です。
暫くすると、私の視界を埋めていた光が収まる。
『さあ、ヴァルキュリアとして生まれ変わった己の姿を見るがいい』
ヘルさんがそう言うと、目の前に姿見が現れる。
そこには以前の私とは似ても似付かない姿が映っていた。
白色を基調とした肩、胸、足部等を覆う鎧、また胸のあたりには赤色の水晶の様な物が収められており、妖しい輝きを放つ。
更に髪も日本人特有の黒髪ショートカットだった筈が、髪色が真白になり光沢を放つばかりか、長さも腰まで届くまで伸びていた。
『これが・・・私』
『そうだ、お前はミスティアとして生まれ変わった。お前は使命を果たすまで俺の物だ。一応言っておくが、怖気づいて逃げたりは出来ないからな。お前は俺の命令に絶対に逆らうことは出来ない』
ヘルさんは玉座に座りながらそう言うと、私は自分では意識した訳じゃあないのに無意識の内に跪いていた。
『ははっ! 驚いたか? お前は俺の物だから俺の許可なく俺を仰ぎみることは許されない。』
そして追い打ちをかける様にこう言う。
『それに俺も暇じゃないんでな。もし使命を行っている時にお前の心が弱り、任務が果たせない状況になったとしても、お前の代わりにもう一人お前の中に用意させてもらった』
『・・・もう一人?』
思わず私が顔を上げて聞き返そうとしたが、見えない力で抑え付けられてしまい、顔を上げることは出来ない。まるで鎖に絡め撮られているようだ。
私はもうこの人から逃れられない。
『少しは自分の状況が理解出来たようだな。まあもう一人と言ったがお前の体の中に、より俺に忠実な僕がいる。あくまでもしもの話だが、お前が戦闘不能な状況になったとしてもお前を守る為、表に出てくるだろう。』
王様は笑みを浮かべながらそう言う。
『その姿もなかなか似合うじゃないか? 更にだがお付きにこいつをつけてやろう』
そう王様が言うと眼前の宙に首に首輪を付け、黒い体をした小さな小型犬が現れた。
『そいつはガルムといってな。敵意を感知する術に長けている。天界の尖兵を感知するには最適だろう』
そういうとガルムは小さな体から挨拶をした。
『ミスティア、これから宜しく頼む』
『うっ・・・うん。よろしくね』と挨拶を済ませる。
『さて顔合わせは済んだようだから、残りの説明はミラに任せる』
『かしこまりました。ヘル様』
こうして自由と記憶を奪われた私の新たな人生が始まる。