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着地時の衝撃はシールドで無理矢理防いだ。かなりの衝撃だったらしくシールドの残量が空になっている。これから銃弾を受けたら普通に傷つくな。
「死ね!侵入者!」
下で待機していた奴らしい。手には旧式のアサルトライフルを持っていた。手入れも行き届いていないらしくいつ暴発してもおかしくないぐらいオンボロだ。
相手がトリガーに手をかける……はずの指がなくなっていた。
「は?なんで撃てない……」
言い終わる前にそいつの胸から剣が生えた。いや生えたように見えるが実際は後ろから刺されたのだ。
「危機一髪といったところか」
刺された片刃の剣が抜かれ刺された人間か倒れたのと同時に何もない空間から人が現れた。クロークを解除したDBだ。
「悪い、助かった」
「シールドが空か。どんだけ撃たれたんだ?」
「いや飛び降りたんだ」
「飛び降りた!?無茶をするなお前は」
DBはやれやれといった感じで話す。仕方ないだろ。そうじゃなきゃ今頃爆死した死体になっていたんだから。
「いい話と悪い話がある。いい話は武器庫をみつけた事。悪い話はそこに重鉄を6機ぐらい確認した」
「重鉄か……」
分厚い装甲で固められ素晴らしい汎用性と強力な武器を装備した非常に優秀な戦闘用有人ロボだ。
重鉄は二世代以上前のかなりのお古だがそれでも生身の人間相手だと強力な相手には間違いない。
「……まあゴリ押しだな」
「だな」
対策さえ整えとけば旋回性に難がある重鉄は慣れた奴ならカモである。
「おーい!生きてるかー!?」
やかましい声が響く。クラークがミニガンをぶっ放しながらこっちに話しかけてくる。
発射先は悲鳴を上げている元同盟軍の連中だ。
「無線を使え、この馬鹿」
「悪いなあ!!無線がぶっ壊れちまったんでなあ!!聞く事はできんだけどなあ!!」
DBの通信に対して更に大きな声で叫ぶクラーク。ミニガンを片手持ちで撃ちながら横に回ってきた相手にショットガンを片手で連射して追い返している。
「クラークそのまま真っ直ぐ進め。そこに武器庫がある。俺たちもそこで合流する。飛び込むなよ?重鉄がいるからな」
「よっしゃ任せろ!うおおおおおおっ!」
クラークはミニガンを連射しながら前進していく。俺もDBと一緒に武器庫に向かう。
途中で何人かの元同盟軍と出くわしたが皆体に風穴を空けたか剣の錆のどちらかになった。
「おーい!待ちくたびれた……うおおおおおっ!?」
元別荘地の中でも一際でかい建物の門前にクラークが俺らを見て話しかけた瞬間。クラークにロケットが撃ち込まれぶっ飛ばされる。
「南無。お前の事は忘れん」
「死んでねえぞ!シールドは切れたがな!」
崖に頭の足でなんとか全体重を支えている。クラークはもう戦えないだろう。こいつは強力なシールドで被弾を恐れずグイグイ進んでいくのが基本戦法だ。アーマを着ているとはいえ重鉄の武器に撃たれれば蜂の巣だろう。
『ははは!よくも大佐と仲間達を殺したな!次はお前ら2人だ!覚悟しとけよ!』
顔がついたでかい胴体に短いがかなり太い手足をした3メートル程の大きさの鉄製の巨人が6体。
各々巨大な銃弾を連射するマシンガンや戦車砲並みの威力を持ったロケットランチャーで武装している。
喋っていると思われる奴は真ん中に仁王立ちしており顔にツノが生やしていた。どうやらロボットアニメが好きな奴みたいだ。
『さあ、行くぞ!死んだあいつらの無念を晴らし……』
そいつが喋り終わる前にそいつが乗っている重鉄の胴体に赤ん坊の腕ぐらいの穴が空き二度と動かなくなった。
そして一拍おいてけたたましい轟音が鳴り響く。
遥か後ろにある森から危機を感じた鳥が大量に飛び立っていく。
「あー、あー。弾丸のデリバリーお届けに参りました。今なら追加注文をお受けしまーす」
無線からアヤメの声が聞こえる。大物を倒すために後ろに待機していたのだ。
「ああ、頼むわ。あの重鉄共にたらふく食わせろ」
「はーいっと」
言い終わらないうちにまたもう一つの重鉄の胴体がぶち抜かれる。
他の重鉄乗りは慌てふためて何もないところに銃をぶっ放し、中には逃げる者もいたがクロークでこっそりと後ろにつけていたDBが四肢の間接をバラバラにぶった斬り胴体だけになった重鉄を串刺しにした。相変わらず凄まじい切れ味だ。
結果的に五分もせずに6体の重鉄がコックピットでミンチよりひどいことになることになった。
これで仕事は終わりだ。船に帰ろう。